董九如(とうきゅうじょ、1745~1802)は、宋紫石に学んだ絵師で、実は井戸弘梁という旗本。家禄は500石で西之丸御小姓組を勤めた。住居を黄蘆園と称したり、書画古器を多く収集するなど、かなり風流な生活をおくっていたようである。本図では、でっぷりとしたつがいのキンバトなど、宋紫石譲りのモチーフも見られるが、師の軽快且つ瀟洒な作風とは対照的に、細部描写の執拗さ、濃厚な色彩感覚、重々しい構図の安定感など、中国絵画に先祖帰りしたかのような雰囲気も併せ持つ。江戸シノワズリーのひとつの極致ともいえる作品。