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Furisode, witn screen, cypress fan

UnknownEdo Period (18th century)

Fukuoka City Museum

Fukuoka City Museum
福岡市早良区百道浜3-1-1, Japan

本館が所蔵する旧吉川観方コレクションの要の一つに、近世の小袖が挙げられる。本品は、雲形(くもがた)に染め分けた縮緬(ちりめん)地に几帳(きちょう)と檜扇(ひおうぎ)を友禅染(ゆうぜんぞめ)で表している。友禅染とは、口金付(くちがねつき)の漏斗状(ろうとじょう)の袋から絞り出す糊の線で
文様の輪郭を防染する「糸目糊置(いとめのりおき)」と、その内側を多彩な色で塗り込める「色挿し(いろさし)」からなる染色技法であり、自在な色遣(いろづか)いで絵画的な文様を表すことを得意とした。
17世紀後半、町人が経済力を持つに従い、町人女性たちも金糸を綴(と)じ付けた刺繍(ししゅう)や手間のかかる鹿子絞(かのこしぼり)によって豪華に彩られた小袖を身に纏(まと)うようになった。しかし、天和3年(1683)、幕府により総鹿子
や金糸の刺繍を施した衣服が禁じられると、これに抵触しない染文様によって小袖を彩ることが盛んになった。なかでも、多彩な絵画的表現が可能な友禅染は、一世を風靡し、染色技法の主役の地位を確立したのである。
文様に見られる几帳や檜扇は、王朝文化の雅(みやび)なイメージを投影するモチーフである。絞り染による雲形の滲んだ輪郭や蔓草状(つるくさじょう)に連なる鹿子と、糸目糊による明確な輪郭線のコントラストは、文様をいっそう趣(おもむき)深いものにしている。なお、全体の絵柄が連続していないのは、一度引き解かれてバラバラになった各部が再び小
袖のかたちに仕立て直されたからであろう。
【ID Number1993B04922】参考文献:『福岡市博物館名品図録』

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