モデルのジョフラン夫人が39歳の時に描かれた肖像画。ジョフラン夫人は、18世紀パリ社交界の著名な人物で、文学や芸術に造詣が深く、彼女が主宰するサロンには常に著名な哲学者や文学者、画家、彫刻家らが招かれていた。
マックス・フォン・ベーンの『ロココ』にある記述によれば、バイエルン王太子妃の侍従の娘として生まれた彼女はジョフランに嫁ぎ、15万リーヴルの年収を惜しみなくサロンにつぎ込み、週2回客を集めた。水曜日には、モンテスキュー、マリヴォー、マルモンテル、ダランベール、ヴォルテール等が、月曜日には、ブーシェ、ラ・トゥール、ヴェルネ、ドルーエ、ブーシャルドン等が集った。若きモーツァルト少年もここで演奏をしたという。彼女のサロンは、実に30年近くもの間、文学、芸術の世界をリードする存在であった。
この肖像画で、ナティエはジョフラン夫人を非常に繊細なタッチで描いている。彼女の理知的な顔立ち、白絹のローブとバラ色の外套、左手下の書物などにより、画面全体に際だった気品と知性が漂っている。
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