木のうつわ作り続けて400年

藩政期の木地師
山中漆器は安土桃山時代の天正年間(1580年頃)に、越前の国から山伝いに、山中温泉の上流約20kmの真砂という集落に挽物木地師の集団が移住したことに始まります。
山中温泉郷
山中漆器は山中温泉の湯治客への土産物として造られるようになります。江戸中期には会津、京都、金沢から塗りや蒔絵の技術を導入し、木地とともに茶道具などの塗り物の産地として発展をしてきました。
藩政期の手挽き轆轤(復元)
江戸時代の末には、木地挽きの名手である蓑屋平兵衛が千筋挽きなどを考案し、明治初期には筑城良太郎が毛筋や稲穂筋などを創案して挽物の技術が確立しました。
加飾挽き(千筋)
山中漆器は、その発祥の経緯からも轆轤を使った挽物技術が特色です。木地の肌に極細の筋を入れる加飾挽きは、山中漆器が最も得意とするもので、その手法は千筋をはじめ、糸目筋、稲穂筋、ろくろ目筋、平筋、ビリ筋など数十種に及びます。この時使われる各種の鉋や小刀は、すべて木地師の自作であり作業に応じて使い分けられます。
加飾挽き(稲穂筋に渦筋)
拭漆製品
筋挽きによって加飾されたものは、拭漆という木地に漆をしみ込ませて仕上げる技法により、杢目を際立たせ使い込むほどに味わい深いものになります。また加飾挽きを施した挽物の筋上に同心円状に赤、黄、黒などの色漆で塗り分けた独楽塗りの技法も特色のひとつです。  木地は堅く狂いの無いケヤキやトチ、ミズメを使い、竪木取り(たてきどり)と呼ばれる独特の方法で、立木を自然な方向に木取りするため、歪みが生じにくく堅牢です。
豪華な高蒔絵を施した茶道具や、特に棗の制作には定評があります。  このような高い技術に裏打ちされた木地職人の事業所が現在30軒余りあります。全国的にみても、これほども木地職人が集積している産地は他にありません。またこの挽物技術の重要無形文化財保持者(人間国宝)である川北良造氏を筆頭に、日本にひとつだけしかない挽物専門の研修所を擁し、山中漆器の木地挽物技術を守り続けています。
山中漆器の制作工程
挽物轆轤作業
山中漆器の特徴はケヤキ、トチ、ミズメなどの原木 a を輪切りにして利用する「竪木取り(たてきどり)」 b です。板目に沿って取る横木取りに比べると歪みや狂いが少なく、堅牢な木地になります。最初に荒挽き c 状態の木地を真空乾燥炉で水分7%まで乾燥した後、寝かせてゆっくりと水分を戻した後に仕上げ挽き d を行います。また千筋、稲穂筋、荒筋などの加飾の挽筋に山中独自の高度な技を見ることができます。
加飾挽き(子持筋)
木地製品
下地作業
 轆轤挽きにより仕上げられた木地に漆を刷毛塗りすることにより木地繊維を固めるとともに目止めをし、乾燥後、木地の狂いやヤセを防ぐとともに強度を要求される縁部分などに麻布を糊漆で貼り補強しますe。その後、漆と砥の粉と珪藻土を混ぜたものを塗り、乾燥後に研ぎ上げる作業を幾度も繰り返して木地の強度を増すとともに表面をなめらかに仕上げますf。この下地作業は10~20工程にもおよび一ヶ月程度の期間を要し、目立たない作業ですが漆器の品質を定める重要な工程です。
布着せ
錆地付け水研ぎ
錆地付け水研ぎ
上塗作業
精製した漆をさらに布や和紙を使って濾過した後、専用の刷毛を使って黒色や朱色に塗り上げる工程で、空気中の微細なほこりやゴミが付着しないように細心の注意を払いながら作業を進めますg。また、天然の樹液である「漆」は化学塗料と違い乾燥の際に高湿度環境において硬化するため、温度や湿度の管理にも充分な配慮が必要とされます。山中漆器の上塗りは朱溜塗り、花塗、切り合い口等に独自の技法があり、特に茶道具の棗は全国シェアの80%以上を占めています。
中塗り研ぎ
上塗製品
蒔絵工程
蒔絵 h とは漆器製造の最終工程にある加飾技術で、まず漆で文様を描きその漆が乾かないうちに金粉や銀粉その他の金属粉等を文様の上に蒔いて付着させる技術を言います。  高度な木地挽物轆轤技術で知られる山中漆器ですが、蒔絵の技法は天保年間に京都の蒔絵師善介や会津の蒔絵師由蔵などにより伝えられました。その後金沢に学んだ蒔絵師が高蒔絵の技法を持ち帰るなど活発に他産地の技法を吸収することにより発展してきました。  現在では茶道具を中心として高蒔絵、平粉蒔絵、研出蒔絵との高度で多様な技法が用いられています。
蒔絵棗
蒔絵万年筆
拭漆作業
山中漆器の素材となる欅や栃の美しい木目を生かした仕上げを拭漆(ふきうるし) i または摺漆(すりうるし)と呼びます。木地に直接、漆を摺込むから「摺漆」、漆を拭き取るから「拭漆」といわれ、古くは「拭き切り漆」とも言われました。  馬毛の刷毛により白木地に直接、漆を摺込んだ後、繊維の長い紙で拭き取り、乾燥する工程を幾度も繰り返して仕上げられます。拭漆製品は木地の良し悪しが仕上がりを左右するため、山中の高度な轆轤挽物技術が美しい拭漆製品の基礎を支えています。
拭漆製品
山中漆器伝統産業会館
立命館大学アート・リサーチセンター 協力:京都女子大学
提供: ストーリー

監修&資料提供: 山中漆器連合協同組合

編集: 山本真紗子(日本学術振興会特別研究員)、 京都女子大学生活デザイン研究所 鈴山雅子 (京都女子大学家政学部生活造形学科)

協力: 若宮隆志

英語サイト翻訳: Juliet Winters Carpenter (同志社女子大学英語英文学科 特任教授)

英語サイト監修: Melissa M. Rinne (京都国立博物館

プロジェクト・ディレクター: 前﨑信也 (京都女子大学 准教授

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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