桐材の美しさを活かした箪笥づくり

紀州箪笥のおこり
日本では、江戸時代に現代のような形式の箪笥が一般的になったといわれています。和歌山地方は古くから木材の生産地であり、古文書や残存する作例から江戸時代末期には箪笥の生産や使用が行われていたと確認されています。明治時代に入り大阪圏向けの地廻り産地として発展し、明治34(1901)年の南海鉄道開通ののちは急速に発展していきました。戦後はほとんどの工場が桐箪笥の製造へと移行し、現在までその伝統が続いています。
紀州箪笥の特徴(1)
いわゆる和箪笥を代表するのが桐箪笥です。柔らかく美しい木目に加え、空気を多く含むことから湿気が適切に保たれ、日本の気候のなかでの衣類の保存に適しています。桐箪笥には、前面、上面および両側面に桐を用いる「三方桐」、正面だけに桐を使った「前桐」などがありますが、紀州箪笥はすべての部材を桐で制作する「総桐」です。
紀州箪笥の特徴(2)
紀州箪笥は砥の粉(とのこ)で仕上げをおこなうことが特徴です。表面は木目をいかし美しくなめらかに整えられており、引き出しも軽く出ます。さらに引き出しを戻すと隣の引き出しがすっと滑り出るほどの高い気密性を誇り、虫や湿気から衣類を守ります。ノミ砥ぎに3年、カンナ砥ぎに10年以上といわれる厳しい研鑽を積んだ職人の高い技術により、一点ずつ丁寧に作られています。
造材・木取り
切り出された材木を水槽につけアクを抜き、さらに半年から1年かけて天日にさらして乾燥させます。乾燥が終われば、必要な寸法に切りそろえます。
歪みなおし
乾燥などでゆがんだ木材をプレス機に通して熱を加え、歪みを直します。
矧ぎ(はぎ)加工
木材は色調・木目の美しさを見ながら慎重に選ばれます。木目を合わせながら数枚の板を一枚の板になるよう矧ぎ合せ(板の側面を継ぎ合わせ)ます。これは板1枚でつくるよりも厚みが出て丈夫になるからです。扉の表面、引き出しの底板など使用する箇所によって、使用する木材の幅や組み合わせ方が異なります。
板木地造り
箪笥の大きさ・形に合わせて切りそろえた部材を、鉋(かんな)をかけて削ります。木の表・裏や木目の出方にあわせて削る方向を変えます。
組み立て
箪笥の胴や引き出しを組み立てていきます。接合部分は楔(くさび)形を組み合わせた組手加工。あらかじめ削った溝に木材をはめ込んでいきます。このとき、はめ込む溝の大きさよりも若干大きくつくった木材をたたいて小さくしてから(木殺し)はめ込んでいきます。はめこんだ木材がのちに元の大きさにもどると、溝からはずれなくなるからです。
木釘(きくぎ)造り
紀州箪笥では金属の釘は使用せず、木で作った釘(木釘)で材を組み立ていきます。その準備として、ヌカと一緒に木釘を炒ります。こうすることにより、余分な水分を飛ばし、代わりにヌカの持つ油分が入ります。焦がすと色がついてしまうため、よく観察しながら炒めていきます。
引出しや盆の加工
引出しや盆(主に衣類などを収納するための縁の浅い引出し)の底板や裏板などは、木釘を打って留めます。
このとき、材に対して木釘を垂直に入れるのではなく、ほんの少しだけ斜めに打ち込んでいきます。垂直にまっすぐに入れると、時間がたってから抜けやすくなるからです。斜めに打ち付けるためには慣れが必要です。
仕上げ
箪笥の表面を浮造(うづくり・刈萱(かるかや)の根を水にさらした後、干して麻紐で丸く束ねた道具)でこすり、木目を出し磨き上げます。紀州箪笥は砥の粉(とのこ)仕上げが特色です。砥の粉(polishing powder)と水、ヤマト液とよばれる夜叉五倍子(やしゃぶし・カバノキ科の落葉小高木。果穂はタンニンを含む)の煎じたものを合わせた液を使って磨き、乾燥させます。
仕上げ
最後に扉の蝶番(ちょうつがい)や引き手などの金具を取り付け完成です。
京都女子大学 生活デザイン研究所
提供: ストーリー

【資料提供】
株式会社シガ木工

【取材協力】
・和歌山県商工観光労働部企業振興課
紀州桐箪笥協同組合

【テキスト】
・山本真紗子(立命館大学文学部)

【英語サイト翻訳】
・ローラ・J・ミューラー

【サイト制作・編集】
・植山笑子(京都女子大学生活造形学科

【プロジェクト・ディレクター】
・山本真紗子(立命館大学文学部)

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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