季節の花をモチーフとした舞妓を彩る可憐なかんざし

花かんざしとは
季節の花をモチーフとする、花かんざし。かんざしのなかでも特に豪華で、奈良時代から日本女性の髪を彩ってきました。現代の京都では、とくに花街の舞妓のもの、というイメージがあります。 舞妓がお店出し(デビュー)するとき、花かんざしを新たにつくります。舞妓は毎月違うかんざしを身につけます。祇園祭などの特別な行事には、それにあわせたかんざしがあります。春と秋に催される踊りの会のためのかんざしは、花街によって決まったデザインがあるほか、演目や衣装に合わせて選ばれています。
花かんざしとは
花かんざしは、一対で左右にさすものと、ひとつだけさすものがありました。現在は、「勝山」(頭の上部につける長く大きなかざり)と、「かんざし」(大かん・だいかん)(お花の飾りの下に、ブラと呼ばれる三角形の花びらの飾りが垂れたものを数本つけているもの)の2種類に大別されます。 舞妓になりたての時は、「われしのぶ」と呼ばれる髪型に、「勝山」と「かんざし」をつけます。小さな花がたくさんつかわれたかわいらしいものです。2~3年たって芸妓へと近づき、髪型も「おふく」にかわると、「かんざし」と櫛のみで「勝山」はつけません。お花も大きめの落ち着いたものへと変化していきます。一般の人向けにもつくられていますが、サイズなどに若干の違いがあります。
花かんざしをつくる
花のつくりかたには、「造花式」と「つまみ式」の二種類があります。ここでは「つまみ式」(つまみ細工)の方法をとりあげます。かんざしを形作る花となるつまみ細工をつくります。かんざしのつまみ細工につかうのは羽二重。うすい絹もので、着物につかうものよりは少し薄手のものを用います。近年、この羽二重のほか、糊など昔からの材料や道具が手に入りにくくなってきたそうです。そのため、以前と同じように仕上げることに苦労しているといいます。
《花かんざしをつくる》梅のつまみ細工
今回は梅の花かんざしをつくります。花の種類により、つまみ細工につかう裂の大きさがきまります。小花の梅は「7分半」(約2.3cm)四方の正方形。0.5分きざみであり、最小の小菊では5分(約1.5cm)四方。最大のぼたんや桜の大輪で2寸(約6㎝)四方です。 檜の台の上に「姫糊」(お米や小麦をやわらかく炊いてつくった糊)を分厚く塗り、なじませておきます。正方形の裂をピンセットで2回半分におりこみます。さらに鋭角部分を両側に開いて、もう一方の鋭角部にそろえて三角形にします。
折った布の中心をピンセットではさみなおし、花びらのかたちに整えます。
姫糊の上に花びらをのせていきます。
《花かんざしをつくる》花をつくる
針金棒の上に円い台紙でつくった土台の上に、一枚ずつ花びらを置いていきます。
《花かんざしをつくる》乾燥させる
「つと」と呼ばれる台に花を挿し、そのまま丸一日ほど乾燥させます。
《花かんざしをつくる》つぼみをつける
より花らしくみせるために、細かなパーツをつくります。たとえば、細い針金に金糸を巻き渦巻き状にして、「におい」(花芯の部分)をつくります。小さなつぼみは赤い本体の先に少しだけ白い色をつけて、雰囲気をだします。
《花かんざしをつくる》花をまとめる
花を平糸(ひらいと)という縒りの少ない絹糸をつかってまとめていきます。糸の色も、単色ではなく、2色を組み合わせることで、微妙なニュアンスをもたせます。
梅の場合は、赤と鶸色(ひわいろ・明るく黄味のつよい黄緑色)の2色、と決まっています。桜の場合は 鶸色と鴇色(ときいろ・うすい桃色)、あるいは鶸1色など。つぼみはパーツ2つを針金の芯に平糸でまき、それを6つつくります。
《花かんざしをつくる》組み上げ
各パーツをひとつにまとめていきます。かんざしの串金に、花を固定します。お花が丸くなるように、一本ずつ平糸でまき、角度をピンセットで調整しながら、お花がまるくなるように形づけ、仕上げます。また、ブラを垂らす場合もあります。
花かんざしのいろいろ
舞妓は毎月ちがう花かんざしを身につけます。それらに祇園祭用のものを足して、合計13種類が必要になります。さらに、春にはそれぞれの花街の「をどり」の会があります。「都をどり」(祇園甲部)・「祇園をどり」(祇園東)・「京をどり」(宮川町)・「鴨川をどり」(先斗町)・「北野をどり」(上七軒)ですが、これにはそれぞれの花街特有のデザインや、その年の演目や衣装・踊り手にあわせたかんざしがつくられます。 図案や作り方を書き残したものはありません。昔から受け継がれたデザインを、自分のあたまの記憶と手の記憶をもとに、つくりあげていきます。
1月 寒菊に扇面・松
毎年ちがうデザインを用います。寒菊、松、竹、梅、羽子板、笹など2~3種類組み合わせることが多いようです。
2月 小梅 (ブラ付)
3月 水仙 (一輪五輪)
水仙はもともと2月のものでしたが、3月は菜種しかお花の種類がないため、最近は3月につかうことも多いそうです。
4月 桜 (三輪五輪)
5月 あやめ (三輪五輪)
ほかに牡丹や藤もあります。
6月 柳
他にあじさいがあります。
7月 舞扇・団扇
祭り (祇園祭)
7月は、祇園祭の期間だけ、特別なデザインのかんざしを用います。
8月 すすき
他に朝顔などがあります。
9月 桔梗 (三輪五輪)
10月 菊 (三輪五輪)
11月 紅葉小輪
他にいちょうなどもあります。
12月 もち花にまねき
毎年12月には、南座で「顔見世」興行がおこなわれます。「まねき(まねき看板)」とは、顔見世興行に出演する役者の名前を書いた看板です。
顔見世の期間中には、五花街の芸舞妓が鑑賞する「花街総見」とよばれる行事があります。舞妓たちは「まねき」のかざりのついたかんざしをつけ、ごひいきの役者の楽屋にあいさつにいきます。そして、無地の「まねき」に名前を書き入れてもらうのです。
立命館大学アート・リサーチセンター 協力:京都女子大学
提供: ストーリー

資料提供:金竹堂

協力: 公益財団法人 京都伝統産業交流センター 京都伝統産業ふれあい館

監修&テキスト:山本真紗子(日本学術振興会特別研究員)

写真: A-PROJECTS 高山謙吾

編集: 京都女子大学生活デザイン研究所 清水彩野 (京都女子大学家政学部生活造形学科)

英語サイト監修: Melissa M. Rinne (京都国立博物館

プロジェクト・ディレクター: 前﨑信也 (京都女子大学 准教授

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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