京都の黒谷で、日本の紙のこれからを考える

建物を飾る和紙
和紙が一面に貼り込まれた部屋に、障子から光が差し込むことで、柔軟な雰囲気が生まれる。 現代では一般的に「読み書きのツール」である紙。しかし、この部屋の壁や床、窓などの内装材も手漉きの和紙が使われています。
古くから日本の生活のなかにあり、親しまれてきた和紙。その軽さと強さ故、筆記具だけでなく傘や器など、多くの道具として利用されてきました。 ところが現代では、紙と言うだけで「水に弱い」「耐久性がない」とのイメージから、活躍の場が年々少なくなっています。
和紙
皿、箱、テーブル。 ここにあるモノは全て「和紙」で作られています。 古くからの和紙の使い方・新しい和紙の利用を提案する工房が、京都の北・綾部市にあります。
黒谷
綾部市では古くから黒谷和紙が作られています。 800年の伝統があり、良質な楮が育つ故、楮の和紙の産地として今もなお産業が続いています。 また、その地で修業を積んだ職人は、和紙本来の魅力や強さを最大限に利用ながら制作を行っています。
強い
黒谷の和紙の特徴は「強い」こと。 大正時代には「日本一強い紙」と国から認定されたほどです。 壁や床といった用途に使用できるのも、強く丈夫な紙だからこそ。
自然に帰る
紙は自然から生み出されたもの。 たとえこの壁を壊すことになったとしても、その際出る廃材は自然に帰すことができます。 空間全体を作り出す素材となった和紙は、和室の減少や自然環境の問題を抱えた現代社会の中で、活躍の範囲を広げています。
ハタノワタル
アート・空間・プロダクト作りに和紙を取り入れることで、これまでにない使用方法を提案。 左官屋や建築家、庭師など、多くの業界の人とのコラボレーションも行っています。 和紙の可能性や魅力を、日本だけでなく海外にも発信しています。
本来の和紙
和紙はかつて、楮や三椏、雁皮などの靭皮織維のみで作られていました。 しかし近年になって、木材をパルプ化する技術や使いやすい輸入原料が登場。 以降、様々な原料を混ぜた紙が多く流通し、昔から作られてきた元来の和紙に触れる機会も少なくなりました。 「今では番傘などに利用できる楮紙由来の強くて美しい和紙に出会える人はほとんどいないのでは」とハタノさんは言います。
和の紙
そこでハタノワタルは、現代人が認識している「和紙」と区別するため、楮100%で作られた自作の紙を「和の紙」と名付けています。
終わりに
モノが少なかった時代、日本人は和紙の特性を理解し、様々なことに利用していました。 しかし時代の移ろいとともに経験に根差した知恵は失われようとしています。 多くのモノを生み出すことができる和紙の素材としての可能性は、今も昔も変わりません。 それを生かすも殺すも、これからを生きる我々の知恵にかかっているのです。
京都女子大学 生活デザイン研究所
提供: ストーリー

【監修・協力】
・ハタノワタル

【写真】
・ハタノワタル
・森善之

【テキスト・サイト制作】
・青井祐香里(京都女子大学生活造形学科)
・朝本奈峰 (京都女子大学生活造形学科)
・足立木綿 (京都女子大学生活造形学科)

【英語サイト翻訳】
・マーテイ・イエリネク
・エディー・チャン

【プロジェクト・ディレクター】
・前﨑信也(京都女子大学)

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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