ねぶたの由来・変遷

青森ねぶた祭

ねぶたの由来
青森ねぶた祭は、七夕祭りの灯籠流しの変形であろうといわれていますが、その起源は定かではありません。
奈良時代(710年~794年)に中国から渡来した「七夕祭」と、古来から津軽にあった習俗と精霊送り、人形、虫送り等の行事が一体化して、紙と竹、ローソクが普及されると灯籠となり、それが変化して人形、扇ねぶたになったと考えられています。
初期のねぶたの形態は「七夕祭」であったのでしょう。そこに登場する練り物の中心が「ねぶた」と呼ばれる「灯籠」であり、七夕祭は7月7日の夜に穢れ(けがれ)を川や海に流す、禊(みぞぎ)の行事として灯籠を流して無病息災を祈りました。これが「ねぶた流し」と呼ばれ、現在の青森ねぶたの海上運行に表れています。
「ねぶた(ねぷた・ねふた)」という名称は、東北地方を始め、信越地方「ネンブリ流し」、関東地方「ネブチ流し・ネボケ流し・ネムッタ流し」等の民族語彙分布と方言学から「ねむりながし」の眠りが「ねぶた」に転訛したものと考えられています。
ねぶたの変遷
青森ねぶた祭は、日本各地の祭りの中でも屈指の大きな祭典に発展しました。 享保年間(1716年~1735年)の頃に、油川町付近で弘前のねぷた祭を真似て灯籠を持ち歩き踊った記録がありますが、果たしてこれほどの祭りになろうとは、当時の人びとは夢にも思わなかったことでしょう。 その頃のねぶたは「奥民図彙(右図参照)」に見られるように、京都の祇園祭の山車に似ていたと思われます。
現在のような歌舞伎などを題材にした灯籠(ねぶた)が登場したのは、平民芸術が爛熟期を迎えた文化年間でしょう。その様子を江戸の風流人滑稽舎語仏(こっけいしゃごぶつ)が「奥ノしをり」に書いているといわれており、郷土史家の松野武雄さんが、昭和41年8月の東奥日報に書いています。
《天保十三年(一八四三)秋田の能代で七夕祭りを見た。それは〝ねむたながし〟と称して人形を出している。高さ3丈ぐらい(約十m)大きさ三間(約6m)四方の神功皇后三韓統一や加藤清正朝鮮遠征の人形で、ロウソクをともして、地車でひいている。人びとはカネ、太鼓、ホラガイではやしたて踊り騒いでいた。まことに珍しいことで、これは津軽の弘前や黒石、それに青盛(青森)のあたりにもあるとのことである。》 秋田県能代市のねぶたは、現在では名古屋城を模したという城型で、大きさは青森ねぶたと変わらず、ほぼ同型のものが七~八台出て市街を練り歩いています。
青森ねぶた祭の特色の一つに、はねとの大乱舞があります。昔はおどりこ(踊子)といいました。いつの頃から〝はねと〟と呼ぶようになったかは定かではありません。しかし青森ねぶたに踊りがついていたことは、安永年間「一七七二~一七八一」の記録に残されています。 《青森では男女たび素足にカネをたたいてはやしながら、衣裳を着飾って踊っていて、しかも店ではこのカネも〝七月二日まで大販売〟とある。》(前出・松野)
 今純三画伯がまとめた青森県画譜(東奥日報・昭和8年発行48年再刊)に、昭和三年の青森ねぶたの様子が画かれています。(右図参照) 当時すでに車で引くものもありましたが、大半は担ぎねぶただったようです。一人がねぶたを担ぎ上げ、四方から支えています。
「昔はどこの小路を見ても、ねぶたがゆれていたもんだス。言いかえればどんな小路っコへども入って行けだ。町の隅っコから隅っコまで祭り気分で、今のように特定のコースを時間まで決められて、見せるためにやるんではなくて、真に楽しかったスナ」 当時のねぶた師の長老、北川啓三さん(故人)はそう語っていました。
話は前後しますが、明治時代に入って青森ねぶたは一層大型化しました。明治三年の浜町のねぶたは、高さ十一間のもので百人で担いだといわれています。約二十mもあるねぶたをどうして担いだものか、とにかく四kmも離れた横内から見えたと記録されています。 しかし明治新政府から任命された青森県令(今の知事)菱田重喜は、地方の旧習を悪習ときめつけ、ねぶたを始め盆踊りなどまかりならんと、明治六年、禁止令を出しました。 明治十五年に解禁されましたが、ねぶた祭が九年間も姿を消した時がありました。
大正の末期から昭和の初めにかけて仮装(ばけと)が大流行しました。青森県にとっては、凶作、金融恐慌、労働運動の目ざめ、そして生活の洋風化が著しい時代でした。不安を茶化したり、社会を批判する姿勢が、ばけと(化け人)の数を多くしたのかもしれません。
祭りは、青森市が戦災を受けた昭和二十年には中止されましたが、翌二十一年には油川や旭町で出されました。進駐軍に気がねしながらの運行だったといわれています
青森ねぶたが、現在のように大型化したのは戦後です。その歩みは、観光化という大きな流れに乗り、どんどん巨大化してきました。
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