新しいファッションを創造する

文化学園大学

- 文化学園大学 服装学部 ファッションショー -

学生によるデザイン的挑戦
文化学園大学服装学部では、ファッション教育の創造的造形の集大成としてファッションショーを行っています。個人発表の場ではなく、グループワークで組織的なプロジェクトを運営する経験から、チームワークやコミュニケーションといった問題解決のための能力を磨くことも目的の一つ。企画からデザイン、縫製、演出、モデル、広報活動まで、すべてが学生によって決定・実施されるのが特徴です。若い感性を持つ多数の学生たちが、時にはぶつかり合い、時には励まし合いながら、新しい時代へのデザイン的挑戦を続けています。
since 1986
服装学部のファッションショーは1986年から始まりました。 その開催目的は、被服学のその多様な科目から総合的かつ実践的なアプローチ方法を身につけたことを、その成果として目に見える形にすること。 しかし、1980年代当時、日本における被服学系の4年生大学では、その教育成果をショー形式で発表するということには重点が置かれていませんでした。ところが、文化学園大学においては学生自身の強い希望があり、また、それに共感する教員の指導と援助によって双方の情熱が今日のファッションショーの形を作り、現在まで受け継がれています。 30年余の間に作られた作品数は総計3,000体以上。世相やトレンドを反映したデザインから、オリジナルのテーマやコンセプトに基づいた発想、また、素材そのものの開発からクリエイティブで高度な技術を駆使した作品、新しい技術に挑戦した作品を製作し、毎年約6,000名の観客を魅了しています。
この展示では、第29回・30回・31回のファッションショーについて取り上げ、各シーンのコンセプトやその制作過程などを丁寧に紹介していきます。
第29回ファッションショー 『angle』
私たちの日常をそれぞれのangleで切り取ってみた時、そこには見つめ直すべき点や継承したい点があることに気がつきました。そのことに焦点を当て、未来への希望を込めて表現されたファッションを通して、さまざまな日常や社会の変化を感じ、未来を共に考えていきたいという思いでつくりあげました。

「サブカル」
今を楽しみ、今を生きる

好きなものは好きでいたい。自分を表現する何かを求めて今を楽しみ、今を生きる。原宿や渋谷などでは、自分を表現するために個性的なファッションをする若者が集まり、サブカルチャーが生まれます。オリジナルプリントやカラフルなモチーフで、日本独特の文化を発信しました。

「Bug」
ネット社会による不具合

過度に発達したネット社会により、人との繋がりに生じてしまう不具合(Bug)。この現状を疑問視し、本質を見失う人々の様をネイビーのニット素材を用いて表現し、タックやねじりなどの技法で不具合(Bug)を、シルバーのラメ糸で発達したネット社会を表現しています。

「Re」
人と自然の共存(リサイクルファッション)

一度不要になった布の端切れや反毛を新しい形に変え衣装にすることで、人と自然の共存、自然のサイクルを表現。“尾張津島の毛織物”より提供いただいた布地には顔料インクジェットプリントを施したり、グラデーション染色をして衣装に用いました。また、残布は反毛機にかけて繊維状にし、それを紡いで糸をつくり、その糸で織った布地も衣装に使用しています。オリジナルの柄や染色、手織りを駆使し、天然素材や透ける素材を使用することで、人も環境も自然であるがゆえ清涼感のある美しさを表しています。

「本音と建前」
日本独自の文化

日本人特有の“本音”と“建前”、両者の共存によって生まれる美徳を現代の人々は使いこなせているのでしょうか。“本音”は黒い素材にプリーツ、しわ加工を施すことで思考の重なりを表現し、“建前”は張りのある白い素材(旭化成せんい株式会社提供「フュージョン」)とミラーを用いて本音を覆い隠す様を表現しています。

「COMPACT」
携帯可能なビジネスウェア

目まぐるしく変化する現代社会で、さまざまなストレスに囲まれて働く私たち。ビジネス社会のスーツの問題点に視点をあて、軽くて機能的で小さく持ち歩ける携帯可能なビジネスウェアを提案しました。せん断変形で体型にフィット、折りたたみ線はデザイン線に。ビジネスウーマンの活躍を衣環境からバックアップしたいという気持ちをデザインに落とし込みました。

「former」
輝かしい未来への希望を込めて

「誰かの手から受け継がれてきた伝統は私たちの手によって形を変える、輝かしい未来への希望を込めて」をコンセプトに、TRドレープ技法やランダムプリーツ、フリンジ加工、モチーフ編み、ヘアピンレースなどさまざまな技法を使用し、日本の伝統として受け継がれている和紙や金箔を装飾で用いることで、未来への希望を輝かしく煌びやかに表現しています。

第30回ファッションショー 『紡ぐ』
グローバリズムやトレンドによってファッションが均一化される中、その大地に根ざした民族服やオリジナリティ溢れるさまざまな文化に着目しました。9つの地域や民族服を取り上げ、そこに日本の伝統文化を融合し、新たな文化を創る担い手としての学生たちの思いを紡ぎ、互いを尊重し合う新たな世界観をつくりあげました。

「殻」
クマン族×鎧

軽快な民族音楽とともに登場したクマン族がテーマの「殻」。クマン族のボディペイントにみられる骨の模様をレザー、日本の鎧を石膏包帯と粘土を使い、衣装を製作しました。自身の保護を図り、内面を隠し、自らを強く見えようとする心を表現しました。

「QALETAQA」
インディアン×刺し子

インディアンと日本の伝統技術“刺し子”を掛け合わせた「QALETAQA(インディアンの言葉で「守る者」)」。人と人との繋がりによって伝承されてきた両者の大地に根付く生きる力と守り抜こうとする「内に秘めた強さ」を表現。ウールやスウェードなどの素材にビーズ刺繍やスモッキング、マクラメ編み、刺し子を施し、土着感が持つ力強さの中に、繊細な美しさを具現化しました。

「颯装」
トゥアレグ族×藍染、切子

青い民族服から「青の民」と呼ばれたトゥアレグ族をモチーフとし、彼らと日本の共通文化である藍染めに着目し、自分たちの手で染め上げました。代々受け継がれてきたトゥアレグクロスのモチーフを切子模様と掛け合わせ、オパール加工や抜染といった技法で表現。照りつける日射、昼夜の寒暖差など厳しい自然の環境下においても前を向き、颯装と生きる人々の姿を映し出しています。

「mi×scot」
スコットランド×竹細工

ライティングと映像を効果的に用いて登場したタータンチェックの衣装。スコットランドの民族衣装であるタータンと日本の伝統文化の竹細工を掛け合わせ、人と人、伝統と革新の交わりを表現しました。伝統のタータンに加え、染色した糸を使いマジックシートで製作したオリジナルテキスタイルなど、洗練されたデザインに落とし込んでいます。

「一縷」
インド×折り紙

インドと日本の両国が問題視している環境問題。社会の発展に伴うさまざまな現象に警鐘を鳴らすとともに、その先の一縷の希望を表現するというコンセプトを基に、インドの国花である蓮をデザインに取り入れ、蓮の花の濃い泥水の中から育ち美しい花を咲かせるという特長を掛け合わせてデザイン展開しました。日本の折り紙をモチーフにし、アンバランスなフォルムやスモッキング、ランダムプリーツなど凸凹のあるさまざまな技法で社会の現状を、金色の刺繍やスパンコールなどの装飾で一縷の希望を表現し、東西の文化が交わるインドならではの豪華絢爛なドレスに仕上げました。

「Ori」
ジョージア×折り

ジョージアジョージア語で“2つの”を意味するオリと、主な技法として取り入れたプリーツを折るを掛けて、シーン名は「Ori」。欠点こそ利点であり、それは各々の能力となる、をコンセプトに、利点と欠点をそれぞれ神経質を繊細、集団依存を協調性、自己中心的を野心的ととらえ、ジョージアの民族衣装チョハをモチーフに作品を製作しました。均一、直線的なプリーツ、タックを用いることで“繊細さ”を、パーツを重ねることやプリーツを用いて群れる様子を通して“協調性”を、立体的なプリーツで“野心的な欲望”を表現しています。

「Hana」
チェコ×つまみ細工

「人の最もピュアな心は、愛をもたらし、幸福を呼び込む。」
チェコと日本、双方の民族衣装を彩る花のテキスタイルを制作。2つの国を結ぶ「幸福」「愛」の花言葉をもつ花々を、日本の伝統技法であるつまみ細工やレース、パール、チロリアンテープなどを用いて表現しました。

「威風凛然」
中国×甲冑

少数民族としての誇りをもって民族衣装を着続ける中国の女性と、現代社会を生きる日本の自立した女性をリンクさせ、凛とした女性の強さを日本の伝統文化である甲冑で表現し、さらに中国の要素として少数民族の華やかな柄を施しました。衣装で使用したバネは、日本にあるバネ製造の町工場、五条発篠(横浜)3代目の村井秀敏氏とプロダクツデザイナーの西村拓紀氏、造形アーティストの志喜屋徹氏が協業して手掛けたアクセサリーブランド「スプリング・ジュエリー」から提供されたもの。日本が誇る特殊技術を使い、日本の若手クリエイターの手により生み出されたバネが、衣装にアクセントを加えました。

「BLAST」
ブラジル×祭り

喜びが集まり、ひとつの大きなパワーとなった時、歓喜の爆発が生まれ、いつしかその爆発は終わりを告げますが、私たちの中に残り続けます。ブラジルの奴隷解放で解き放たれた歓喜を、日本の浮世絵を大胆にあしらったプリントやリボンワークなどを使い、日本のお祭りをイメージした鮮やかで大胆な衣装で表現しました。

第31回ファッションショー 『服の力』
私たちにとって身近な存在である服は、ファッションを楽しむだけでなく、生活や環境を守る力、家族や友人に感謝を伝える力、また、人や伝統を繋ぐ力など、さまざまな力を持っています。独創的なデザインや、体の仕組みを知ったうえでの機能性、素材開発など、専門分野の異なる学生の英知が集結し、「服が持つ力」に着目した9つのシーンで表現しました。

「守る -クチクラ-」

生物の表皮を保護する役割を持つ、第二の皮膚“クチクラ”(※)から着想したシーン。
サナギ・繭・クチクラをデザインソースとし、ヒトの身体を包み込んで守る力を表現しています。素材はダブルラッセル、2Wayストレッチのほか、3Dプリンターでプラスチック、グル―ガンでEVA樹脂を使用し、平面の布では表現できない風合いと立体造形にも挑戦しました。
(※)キューティクル

「守る -知の布-」

「知恵」「知識」を一種の「守る力」と考え、10体のデザインを第一段階から第三段階までに分け、徐々に力を得てゆく様子を表しました。素材はすべて綿の生機(※)で統一しています。ドロンワークや箔、ラミネート、シワなどさまざまな加工を施し、一つの素材を展開させていくことで、知識が増えていく様を表現しました。
(※)染加工する前の布生地

「生む -UNI-」

服には共通の意識を生む力があると考え、その象徴として制服に着目し、宇宙服をテーマに構成しました。白をベースカラーに、布地は厚さの違う3種類のダンボールニットを中心にメッシュと合皮を使用し、福資材にベルトのバックル、シルバーのファスナーを用いてシーンの統一感を出しました。実際の宇宙服からデザイン発想したオリジナルキルティングは、刺繍糸、ラメ糸、シャッペスパン糸でオリジナル柄を製作し、すべての作品に同じ素材を用いることで人々の連帯感を生み出し、「同じ方向へ進んでいく」様子をフューチャリスティックに表現しています。布の収縮率をパターンに組み込んだり、立体裁断で形出しをするなど、パターンに工夫を盛り込んでいます。

「表す -exist-」

自分の意思を持ち生きていく現代の若者を、「今」という時代の感性にのせて表現しました。若者のトレンドに目を向け、MA-1をメインに、リアルクローズのテイストと花の装飾でデザイン展開をしています。カラーは茶系やカーキをメインに、挿し色にくすんだピンクや紫、黄色を使用。主な素材は、MA-1にはナイロンを、その他のアイテムにデニム、ニット、レザーを使用し、パッチワークやスラッシュキルトでさまざまな表情を持たせています。パッチワークは、使用している素材を無駄なく使いパーツを作り、土台の布に重ねてステッチ糸で縫っています。炙りややすりをかけてダメージ感を出し、見応えのある物にしました。

「生む -Sheen-」

輝き・光沢の意味を持つ「Sheen」から、『きらめきを纏い、前へ進む』をコンセプトに、サテンやシャンタンなどの光沢のある素材で上品なきらめきを表現し、シフォンなどの柔らかなイメージの素材で女性らしさを、また、オーガンジーやチュールで可愛らしさを表現しました。さらに全体を通して使用したビニールのさまざまな装飾技法により、布地に上品に馴染む新たな表現を提案しました。きらめきを纏いながら、前へ進もうとする、ドラマティックな服の数々です。

「繋ぐ -いまめかし-」

日本の伝統的なモチーフが主役。デニムを基調にした「和」×現代的なスタイリングにより、先人たちの思いや軌跡を未来に繋いでいく様を表現しました。製作対数は全8体、2体ずつ柄を統一させています。柄は、日本画や伝統柄を基に現代さを加えてオリジナリティを出しています。生地は、スクリーンプリント、機械刺繍、裂き織り、ニードルパンチなどさまざまな加工で素材の色合いや風合いを変化させ、テキスタイルの可能性を探りました。

「変える -閃々-」

とらわれている自分の本来の魅力を解き放つ、その一瞬一瞬を表現したシーン。
マーブリングや布の重なりで心の揺らぎと葛藤を、ひび加工やムラ染めで変わるその一瞬を、またその変化の煌めきをビーズ刺繍等で表し、デザイン展開しました。メインカラーはグレー中心の無彩色で、レザーを中心とした素材すべてに染色を施し、シーンとしての統一感にこだわっています。牛皮のハード素材との組み合わせにジョーゼット、オーガンジーの薄物を使用し、さらにクィーンズサテンを中間素材と使用したことで、両極端な素材の特徴を引き立たせることに成功しました。

「伝える -for-」

感謝の気持ちを伝える「フォーマルウェア×ラッピング」がコンセプト。式典などで着用するフォーマルウェアをデザインソースとし、主な素材はラッピングをイメージした透明感のあるグラスオーガンジーと、フォーマルをイメージしたブライダルサテンを使用しています。アイテムは、フォーマルウェアを参考にドレスとジャケットのデザイン展開としました。インクジェットプリントで制作した極彩色のオリジナル生地やフリルの装飾が、溢れ出る様々な感情を表現しています。ヘッドドレスにはホースヘアを用いて贈り物を表し、躍動感あふれるハッピーなフォーマルスタイルの提案です。

「変える -みち-」

私たちは、みちを切りひらき、そして輝く―。
新たな道、未知数、まだ見ぬ世界、などの意味を掛け合わせたコンセプトの、カラーをすべて白で統一した印象的なシーンです。ダイバーニットという程よいハリと軽さのマットな素材と、合成皮革をメインに、デザインに合わせて光沢のあるサテンやつツイル、ビニール等を合わせました。技法はプリーツ・スモッキング・カットワークを使用し、他にもドレープや複雑な切り替えを施しています。衣装の中にテープ状のLEDとUSBバッテリーを装着し、異素材の組み合わせや布の立体感などによって光が醸し出す陰影と透け感が、独特の造形と美しさを演出しています。

提供: 全展示アイテム
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