喜世留で味わう

京都の誇る伝統工芸のひとつ、きせる。

昔から莨(たばこ)をたしなむ道具としてはもちろん、教養やセンスをさりげなく表すおしゃれアイテムとしても愛用されてきました。

16世紀ごろに日本に入ってきたといわれ、語源はカンボジア語の Khsier という説があります。明治時代に紙巻きたばこ(シガレット)が入ってくるまでは、喫煙道具はきせるが主流。
日本の家庭には莨盆(たばこぼん)があり、客人にお茶を出す前にまず莨で一服していました。また、莨盆は茶道でもおもてなしの一環として登場します。それだけ、きせるは日本の伝統文化や暮らしと深いかかわりを持っていたのです。

ちなみに、日本語で「一服する」という言葉があり、これは「リラックスして一息入れる」という意味の表現として広く使われています。

きせるで莨を味わう(一服する)ことからきているそうです。

莨の葉を細かく刻むようになったのは日本発祥。江戸時代には刃物の技術が発達し、髪の毛ほどの細さに刻まれた莨が一般的になりました。火皿もそれに合わせてコンパクトになり、携帯用のキセルも普及しました。
きせると莨で一服してみましょう。まずは火皿に刻み莨を詰め、手で整え、火をつけます。
きせると莨で一服してみましょう。まずは火皿に刻み莨を詰め、手で整え、火をつけます。
羅宇竹はタールやニコチンなどの有害物質を吸着する役目を果たします。そのため定期的に交換しなければなりません。
世界にひとつだけのきせるをつくる
真鍮や銀のような金属を叩いて、吸い口と雁首の形を整えます。そして継ぎ目を銀ロウでつなぎます。もはや日本ではこの特殊な技術を伝承する職人は数名です。

吸い口や雁首には依頼主の要望に応じて模様を彫ることができます。

繊細な装飾ができるのも専門の職人さんの力あってこそ。

羅宇竹も使う人の好みで選べます。

漆や染色で艶を出し、手描きや型紙でさまざまな模様が施されます。

キセルを入れるキセル筒、刻み莨を入れる叺(かます)はきものの帯に着けて持ち運びます。生地や留め金、根付といった細部も多種多様で、莨を嗜むときに少し見えるその組み合わせから持ち主のセンスやこだわりがうかがえる。これが「日本の粋」なのです。
紙巻きたばこの普及により、一式をお世話してくれるお店は日本全国で京都の一軒のみになりました。シガレットが主流となった現在でも、こうした美意識を含め関心を寄せる若い世代や、きせるを通して交流を深めるコミュニティーがあります。
かつて日本人なら誰しもが持っていたきせる。昔から幾千の人が一服し、道具として愛で、会話を楽しむ喜びを世に留める日本の「喜世留」文化。今も昔も、コミュニケ―ションツールとしての本質は変わらないのです。
谷川清次郎商店
京都伝統産業ふれあい館
提供: ストーリー

【資料提供&協力】
谷川清次郎商店 & 清水三年坂美術館

【監修】
京都伝統産業ふれあい館

【テキスト】
公益財団法人 京都伝統産業交流センター 京都伝統産業ふれあい館
・有賀優 (京都女子大学生活造形学科
・岩田光生(京都女子大学生活造形学科
・玉田南倭(京都女子大学生活造形学科

【映像】
・高山謙吾(A-PROJECTS

【サイト編集】
・有賀優(京都女子大学生活造形学科
・岩田光生(京都女子大学生活造形学科
・玉田南倭(京都女子大学生活造形学科
・笠井貴江(京都女子大学現代社会学科

【翻訳】
・エディー・チャン

【プロジェクト・ディレクター】
・前﨑信也(京都女子大学 准教授

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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