時を超えて

海上交通の拠点
輪島塗は石川県輪島市で16世紀から作られている漆器です。現存する最古の輪島塗は重蔵権現の本殿の朱塗扉で室町時代の大永4(1524)年に制作されたといわれています。  輪島は古くから「親の湊」と呼ばれ、海上交通の拠点として栄えてきました。はるか古代にも、中国や朝鮮半島との交流が行われてきたといわれています。中国が発祥といわれる漆芸の技術が輪島に伝わったのは必然であったといえるでしょう。また輪島には、ウルシをはじめ、ケヤキ、アテ(能登ヒバ)など、漆器づくりに欠かせない木々を育てる豊かな森があり、漆の乾燥に適した気候も備えているのです。日本の漆の歴史は縄文時代にまでさかのぼることができます。数千年という長い時間をかけ、幾世代にもわたって受け継がれてきた技。しかし、それは単に伝統を続けることだけにとどまりません。創意工夫を重ね、技を磨き、つねに進化と深化を続け現代までつながってきたのです。
品質をつくる
約120の工程を経てつくられる輪島塗。各工程は10の分野に分けられ、完全な分業制です。工程のすべてを確認し、発注から販売・納品までを管理する、いわばプロデューサーの役を果たすのが塗師屋です。各分野は代々受け継がれることがほとんどで、徹底して専門化することで技術力が高められ、守られてきました。各工程の専門職がすべての手作業で妥協することなく最高の品質を求める。それぞれの専門職の人は、自分の仕事に自負を持ち、次の専門職の人に自信を持って手渡せるよう丹精を込めます。その結果生まれたものだけが、輪島塗と呼べるのです。
輪島塗の堅牢性
輪島塗の特徴は頑丈な下地です。これは地域で採れる「輪島地の粉」という珪藻土の一種を焼いて粉末にしたものを漆に混ぜることで実現しました。更に、傷みやすい箇所を布で補強する「布着せ」という手法も生みだされました。こうして、優美さと堅牢さを兼ね備えた輪島塗が完成しました。
漆の色、漆のつや
漆は、その原料や質に応じて使い分けられます。質の異なる漆に、異なる塗りの技法を組み合わせることで、漆器は実に多彩な表情を持つようになります。また、漆に顔料などを混ぜることで様々な色を表現することができます。漆の黒は「漆黒」という言葉があるように、最高の黒とされています。朱色も一色ではなく顔料によってさまざまな色を生むことができます。更に白や緑の色漆もあるのです。
漆の黒
黒漆は、昔は煤などから作る黒い顔料を入れてつくられていました。しかし、安土桃山から江戸にかけての頃、漆に鉄を入れると黒くなることが発見されました。漆の主成分であるウルシオールが鉄と反応し、それによって漆そのものに真っ黒な色がつくのです。「漆黒」という言葉にふさわしい深みやつや、味わい、そして独特の耐久力は何百年の試行錯誤の積み重ねの結果と言えます。
工房の街
輪島の街を歩くとさまざまな輪島塗に出会うことができます。輪島塗は完全な分業制によってつくられています。木地づくり、塗り、研ぎ、沈金や蒔絵といった装飾、工房はそれぞれの工程を担当する職人の家です。彼らの暮らしのなかに漆器づくりが溶け込んでいる。いわば、輪島の街全体が工房であるといえます。
沈金
蒔絵
輪島塗会館
輪島塗に触れてみたいと感じたら、ぜひ輪島の街にお越しください。日本海の海の幸をはじめ、四季折々の豊かな味わい、風情豊かな街並みや朝市のにぎわい、そしてたくさんの輪島塗とその工房がお待ちしています。
立命館大学アート・リサーチセンター 協力:京都女子大学
提供: ストーリー

監修&資料提供: 輪島漆器商工業協同組合

映像: A-PROJECTS 高山謙吾

編集: 山本真紗子(日本学術振興会特別研究員)、京都女子大学生活デザイン研究所 鈴山雅子 (京都女子大学家政学部生活造形学科)

協力: 若宮隆志

英語サイト翻訳: Juliet Winters Carpenter (同志社女子大学英語英文学科 特任教授)

英語サイト監修: Melissa M. Rinne (京都国立博物館

プロジェクト・ディレクター: 前﨑信也 (京都女子大学 准教授

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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