宮城県仙台市

歴史背景

かつて堤町(仙台市青葉区)一帯に窯場があったことから、その名がついた堤焼。
茶道に通じた伊達藩主の器などを作る御用窯として江戸時代にはじまり、後に甕や鉢、皿をはじめとする庶民の生活雑器を生産するようになって300数十年の歴史を持つ。
粗く優れた地元の土を活かした素朴さと、黒と白の釉薬を豪快に流し掛けた"海鼠釉"が特徴で、昭和初期に堤町を訪れた民藝の父・柳宗悦にも東北を代表する民窯として注目され、水甕などが高く評価された。
最盛期には30軒を数えたが、今では「堤焼乾馬窯」が唯一の窯元となり、丸田沢(仙台市泉区)の緑豊かな環境に場所を移して伝統と技を守り続けている。

「堤焼乾馬窯」は、地元の名工として知られた初代が、仙台に招かれた江戸の陶工・三浦乾也(6代・尾形乾山)から乾馬の陶号を授かったのがはじまり。
この時書き写すことを許された秘伝書『乾山秘書』をもとにしながら、仙台の土と釉薬を使ってこの地の風土に根ざした焼きものが生み出された。
それから現在の四代・乾馬にいたっても一貫して、地元でとれる土と釉薬にこだわった作陶が続けられている。

製造工程

①土造り・水簸
・台原粘土層から掘り出した粘土を山にしてねかせる。
・粘土山から粘土を削り出し、水でうるかし、ミキサーで溶かす。
・木の枝や根、石などの不純物を取り除くため、ふるいに掛ける。
・水槽に溜め込み沈殿させ、数ヶ月ねかせる。
・水槽にねかせておいた土の上水を捨て、素焼きの鉢に入れて日陰で数日乾燥させる。
・土練機に通し、室(むろ)に移して1年以上ねかせる。

②土練り(荒練り・菊練り)
・ねかせた粘土の固さを均一にし、空気を抜く。
・粘土をしめ、ひび割れを防ぐ。

③成形
小物製作(食器・花入など) 主にロクロ成形
・電気ロクロ : モーターの動力で回転させる。
・蹴りロクロ : 足で蹴ることにより回転させる。
・手ロクロ : 回棒を天板の穴にはめてまわす。

大物製作(大壷・大甕など) 棒ひも造り
・棒を輪積みにしてひねりあげ、一段ずつ足していく。
・たたき板でたたき、粘土をしめながら形をととのえる。
・作り手の他に、補助が一人ロクロをまわす。

④仕上げ
・水挽したものを2、3日ゆっくりと乾燥させ、5分乾き程度のところで高台を削りだす。
・作品をシッタに固定し、カンナや竹へらで削る。

⑤乾燥
・小物は1週間程度かけて乾燥させる。
・大物はひび割れを防ぐため、室で1カ月以上かけてゆっくりと乾かす。

⑥素焼
釉薬を掛ける際の型崩れを防いだり、釉薬の定着を良くするため、約800度で焼成する。

⑦施釉
素焼を行った陶器に釉薬をかける。
堤焼の代表的な海鼠釉の原料は次の通り。
・南光台あまさ
・根白石の早坂岩
・三ヶ森岩、鷺ヶ森岩
・籾殻灰
・木炭 など

⑧本焼
1,250度前後まで温度を上げ焼成する。
釉薬は焼成することで粘土の表面と溶け合い、ガラス質となって水分の浸透や汚れを防ぐ。

工人・作品紹介

四代目針生乾馬
1928年 仙台生まれ
父三代目乾馬(乾翁)に師事
1963年から新宿伊勢丹で個展
1969年から日本橋三越本店で茶陶展7回
1973年 日本陶芸展入選
1975年 浩宮様(皇太子殿下)乾馬窯に御成りお茶碗御手造り
1983年 宮城県伝統工芸品指定
1983年 全国陶芸展文部大臣賞
1985年 全国陶芸展内閣総理大臣賞
2000年 地域文化功労者文部大臣賞
2001年 仙台市特別市政功労者章受賞
2011年 河北文化賞受賞

四代目乾馬の長男久馬(写真左)次男和馬(写真右上)長女の長男で孫の峻(写真右下)が、堤焼の技術と伝統をつないでいきます。

四代目乾馬作「海鼠釉耳付花入」

堤焼伝統の海鼠釉をかけた、耳付の花入です。

四代目乾馬作「粉引窯変茶碗」

茶道裏千家の家元の箱書きがゆるされた東北で唯一の作家です。

四代目乾馬作 「舟頭水指『保津川下り』」

京都嵐山へ下る保津川の舟下り傘を被った船頭さんをイメージした形をしています。

銅を還元焼成することで「辰砂」になり、窯の中で窯変した深目の鉢です。

白地に銅をかけ、酸化焼成した緑釉の角の大皿と、海鼠釉の角の大皿です。

長女の長男で孫の峻の作品で、海鼠釉の花器です。

さいごに

工房・窯場・展示場、見学可能です。
作品の販売もしております。
当窯はキャンプ場に隣接した緑豊かな場所です。
お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。
※体験教室は事前予約が必要です。

営業時間:9:00 ~ 18:00(時間外応相談)
休業日:展示場・販売は無休、工房は日曜祝日
住所:〒981-3121宮城県仙台市泉区上谷刈字赤坂8-4

By : 仙台観光国際協会
提供: 全展示アイテム
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