京うちわ

日本の夏には欠かせない、涼を呼ぶ芸術品

京うちわ
うちわは、日本の夏には欠かせない道具です。あおいで風を送り、蚊や蠅を打ち払うときに用います。また、魔除けの意味もあり、軍配(ぐんばい)のように神事などでも使われてきました。円形の「団扇」と菱形の「方扇」があり、いずれもうちわと称されます。中国では紀元前3世紀には存在していたといわれ、日本には6~7世紀ごろ伝わったとされます。
京うちわ(都うちわとも呼ばれています)は、宮中で用いられた「御所うちわ」をルーツとしています。風をおくるふたつのうちわ面と、手にもつ柄を別に作ってはめこむ「挿し柄」が特徴です。骨と紙をそれぞれつくり、最後に二つを合わせて仕上げます。原料から完成まで20種類以上の工程があり、14ケ月以上を要します。
まず竹から骨づくりをおこないます。寒冷地で4~5年育った竹(真竹(まだけ)や破竹(はちく))の節の長い部分を切り出し、巾・厚みを整えます。上端に5㎜の刻みをいれ、竹の繊維にそって刻みをもみ広げ、割っていきます。そこから必要な厚さにあわせ、二枚あるいは三枚にへぎ割ります。京団扇は骨の数が多いことが特徴です。
うちわの地紙(うちわ紙)をつくります。絵師が手描きで描いたり、切り絵のように透かしをいれたり、木版や友禅で染めるなど、さまざまな技法があります。
うちわ紙と骨を合わせていきます。薄い紙に、骨になる細竹を放射線状にならべ、糊付けしていきます。これを「仮張り」といいます。

薄く均一に糊付けした上にたくさんの骨を貼り付けることで、ゆがみのないきれいなうちわ面になります。

薄く均一に糊付けした上にたくさんの骨を貼り付けることで、ゆがみのないきれいなうちわ面になります。

仮張した上に裏側のうちわ紙を貼り、糊が乾いたら水で湿らせて仮張をはがしていきます。 骨に糊をつけ、表側のうちわ紙を貼ります。骨のきわに「念ベラ」とよばれるヘラで筋をつけていきます。この作業により紙が伸び、うちわがしなるようになります。
柄(え)を挿す部分に、紙と絹を合わせて貼り付けます。これを「元付(もとつけ)」といいます。これは装飾と、柄の元を補強するためのものです。 周囲の余分なものを切りうちわの形にしたあと(「なり廻し」)、縁がはがれないよう、薄いみつまた和紙を貼っていきます。これを「へり取り」といいます。柄にもち粉で作った糊をつけ、元の部分にさしこんで完成です。柄の部分は竹、杉、栂(とが)材など多くの資料があります。
深草うちわ
天正元年(1573年)、当時、公家であった住井家は時の帝より「伏見深草の真竹を使い、団扇作りを差配せよ」との命を受け、深草の地の人々を動かし、天正年間(1573~92年)に「深草うちわ」を確立しました。江戸時代に入ると街道が整備されることで京都土産として一世を風靡します。

当時の『拾遺都名所図会』「深草の里 団屋店(うちわやみせ)」には、客で賑わう団扇屋の店先が描かれています。

当時の『拾遺都名所図会』「深草の里 団屋店(うちわやみせ)」には、客で賑わう団扇屋の店先が描かれています。

元政型深草うちわ
「元政型深草うちわ」は、江戸時代、住井家と歌仲間であった瑞光寺開祖・元政上人(1623-68)が考案されたものと言われています。これは元政上人が亡くなった際、香合とともに親しかった人々に遺品として贈られました。完全な形で残っているものが無い中、瑞光寺にお参りに来られた東京在住の方が、代々家宝として守っておられたもの。うちわの柄にある黒い二つの焼き入れは、現在でも、同家製造のうちわの証として入れられています。
元政型深草うちわ(復元)
本作品は、現存する江戸時代の元政型深草うちわをもとに復元されたもの。 うちわには元政上人の歌が書かれています。背景はそれぞれ墨流し、ちぎり絵、ぼかしで美しく装飾されています。
京丸うちわ
京の花街では、夏の挨拶に芸妓さんや舞妓さんがお得意先へ名入りのうちわを配る風習があります。白地に朱色で名入れされたこのうちわが「京丸うちわ」と呼ばれるものです。 毎年初夏の頃になると、お料理屋さんやご贔屓の店先に、きれいどころの名前が華やかに飾られている光景を目にします。
京丸うちわの骨は一本の竹片から出来ており、竹の節目を境に上部を約42本に細かく割き、下の部分を柄にしています。この骨を整えて団扇の地紙を貼って乾かします。半月型のタガネでうちわの形にうちきり、縁紙を巻いて仕上げに、骨一本一本に竹ヘラで筋を入れていきます。定紋が入っているほうが表、名前が裏です。
京都女子大学 生活デザイン研究所
提供: ストーリー

【資料提供】
株式会社阿以波
株式会社小丸屋

【監修・協力】
京都扇子団扇商工協同組合

【テキスト】
・山本真紗子(立命館大学非常勤講師)

【英語サイト翻訳】
・エディー・チャン

【サイト編集】
・大橋愛子(京都女子大学生活造形学科)
・永友花奈(京都女子大学生活造形学科)

【プロジェクト・ディレクター】
・山本真紗子(立命館大学)

提供: 全展示アイテム
ストーリーによっては独立した第三者が作成した場合があり、必ずしも下記のコンテンツ提供機関の見解を表すものではありません。
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