江戸時代女性の身だしなみ

京都府立総合資料館

身分によるファッションの違い
江戸時代には、公家・武家・町人といった身分の違いで衣服が異なっていました。江戸時代に出版された『百人女郎品定(ひゃくにんじょろうしなさだめ)』(1723年刊)を使ってその違いを見ましょう。 はじめに本の紹介をします。作者は京都の浮世絵師、西川祐信(にしかわすけのぶ)(1671~1751年)。女帝・皇后・皇女から遊里の女性まで、百人の女性の姿を描き分けています。服飾に関する故実の探究心から、あらゆる階層の女性像を網羅的にあらわそうとした意欲作です。
The aristocrats (imperial family and courtiers)

『百人女郎品定』1723年刊上巻(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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女帝 皇后 皇女

また、皇后は正装のいわゆる十二単(じゅうにひとえ)姿(掛帯付きの裳(も)に唐衣(からぎぬ)、五衣(いつつぎぬ)などです。

皇女は童女が着用する晴れ着の細長(ほそなが)姿となっています。

『百人女郎品定』1723年刊上巻(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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大名国御前
小袖の裾を絡げ、庭先の桜を何故か素足で見上げる大名国御前。大名国御前とは、大名の側室のことです。間着の小袖に帯を結び、打掛小袖を羽織っています。奥女中は振りの長い短いがありますが、杜若や桜などの華やかな模様の小袖姿です。

Ladies in waiting

Her ladies-in-waiting have on belted kosode with sleeves of different length (long sleeves, or furisode, were usually worn by unmarried women). Almost all of their robes are decorated with lively designs, including irises and cherry blossoms.

『百人女郎品定』1723年刊上巻(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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町人上品の室 腰元 中居
公家文化に憧れる裕福な町人の中には蹴鞠を楽しむことがありました。御簾に菊の模様の打掛を着た室(しつ)(夫人)と、大きな茗荷模様の小袖を着た腰元(こしもと)の間には鞠が宙に浮かんでいます。それを見守るのは松葉に銀杏、雲に霞模様の小袖を着た中居(なかい)。上品な夫人の帯は既婚女性に多く見られる前結です。家事などをするのに不便なようですが、下女に任せているから大丈夫です。

『百人女郎品定』1723年刊上巻(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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職人女 扇屋 組屋
儀礼や芸能でも幅広く用いられた扇は需要があり、女性の職人も多かったといいます。地紙を整えている扇屋の女性は、格子や小紋の小袖か紬を着用しています。仏具や装身具などにも用いられる組紐作りには、色彩や模様の工夫に女性も活躍したことでしょう。専用の台や道具を操る女性は、単一柄の割り付け文様の小袖姿です。

『百人女郎品定』1723年刊下巻(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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京嶋原太夫 新造 引舟 遣手 禿 局女郎
京都の嶋原は現代でいえば文化サロンともいうべき存在でした。中でも太夫(たゆう)は遊里の女性としては最高位にあり、美貌と教養、芸事を身につけていました。太夫と見習いの芸妓新造(しんぞう)はいずれも数枚重ねた小袖に古風な柄行きで豪華な装飾を施したような打掛姿。太夫に付き添い客を取り持つ引舟(ひきふね)と舞妓修業の少女禿(かむろ)は当時流行の光琳文様風の小袖姿。傘をかざす遣手(やりて)は簡単な小紋の小袖。座り込んでキセルをふかす最下位の遊女局女郎は絣らしききもの。立場や年齢の違うそれぞれの女性の特色がよくあらわれています。

庶民の暮らしの身だしなみ
日々の暮らしの行事や出来事の中で、女性にとってファッションに心をくだくことは今も昔も楽しみの一つです。女性の身だしなみについて書かれた教養絵本『女風俗玉鏡』には、暮らしを愉しむ生き生きとした女性が描かれています。文は江島其磧(えじまきせき)(1667~1736年)絵は西川祐信(にしかわすけのぶ)(1671~1751年)により、1732年に出版されています。50年後の版も存在し、人気のあったことが知られます。紹介する当館所蔵の『女風俗玉鏡』上巻と『女中風俗艶鏡』下巻はそれぞれ来歴が異なりますが、描かれた衣服の部分に注目し、組み合わせて紹介します。また出版年が判然としませんが、内容から1782年頃と想定しています。

『女風俗玉鏡』18世紀刊(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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羽根つき 雛飾り
右頁にはきものの肩を縫い上げた少女が羽根つきに興じています。まだ髪の短い女の子は四つ身のきものでしょうか。身丈の四倍分の生地で仕立てます。左頁は上巳の節句の一場面です。子供たちが晴れ着で雛飾りを楽しんでいます。

『女風俗玉鏡』18世紀刊(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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物干し
右頁は梅雨明け後の土用干しでしょうか。夏向きの単衣のきものを着た女性が干し物と洗い物をしています。きものに風を通して日本の高温多湿に備えます。
左頁はきものを洗い張りした後、伸子張り仕上げをしている様子です。きものは丸洗いに向かないので、解いて裁ち目を縫うと元の反物に戻ります。それを干して糊をつけて仕上げる時に伸子を打ちます。

『女風俗玉鏡』18世紀刊(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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婚礼
婚礼の席に飾られる島台(しまだい)には、松竹梅に尉と姥、鶴亀が配されています。その前に新郎新婦が座し、契りの酒を酌み交わそうとしています。新婦は白の打掛姿で神妙な様子です。右頁は異時同図法で新婦が色直しの衣装に着替えているところを表しています。

『女中風俗艶鏡』18世紀刊(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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聞香
右頁は聞香の一場面です。上流層の町人の中では教養の一つとして香りを聞きあてる趣味が広がりました。華やかな意匠の小袖や振袖に身を包んだ女性が集います。
左頁には三味線と箏を合奏する女性が描かれています。裕福な女性の高尚なたしなみでもあり、伊達紋のある腰高模様の小袖を打ち掛けて演奏しています。

『女中風俗艶鏡』18世紀刊(京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)蔵)
制作・撮影:株式会社堀内カラーアーカイブサポートセンター
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紅葉狩り
秋の行楽の一つである紅葉狩りの様子が描かれています。二人の女性は、外出時に頭から被る小袖形の被衣(かずき)という衣服を被っています。日差しや埃よけにもなりましたが、上流婦人のおしゃれでもありました。小袖の裾は腰紐で絡げ、歩きやすく工夫しています。

提供: ストーリー

提供 京都府立京都学・歴彩館(旧 京都府立総合資料館)
京都市左京区下鴨半木町

提供: 全展示アイテム
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