『ブラック・ジャック』　名場面

無免許の天才外科医ブラック・ジャックが活躍する医学ドラマです。
ブラック・ジャックは、天才的な外科手術の技術を持ち、死の危機にさらされた重症の患者を、いつも奇跡的に助けます。
しかしその代価として、いつも莫大な代金を請求するのです。そのため、医学界では、その存在すらも否定されています。
人里離れた荒野の診療所に、自ら命を助けた助手のピノコとともに、ひっそりと暮らすブラック・ジャック。
彼の元には、今日も、あらゆる医者から見放された患者たちが、最後の望みを託してやってくるのです。

1973/11/19-1983/10/14 「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)連載

手塚治虫は医学博士であり、医者の免許を持っていました。
それで、自分がもし医者になるならこんな医者になってみたいという理想の姿を描いたのが、この『ブラック・ジャック』です。
『ブラック・ジャック』は、初め、漫画家生活30周年記念・手塚治虫ワンマン劇場と銘打った、手塚マンガのキャラクターが総出演するオールスターキャストの短期(5回)読み切り連載の予定でした。
しかし人気が出たため、結局、5年間、230話にわたって読み切り形式で連載は続き、連載終了後も読み切りとして13話が描かれました。
手塚治虫先生は後年、『ブラック・ジャック』に関して、もう少し描き続けることも出来たが、「疲れて」止めたと仰いました。医学的に正確であることよりも、生（せい）に真正面から向き合うヒューマンドラマであることにフォーカスを置いていらしたにも拘わらず、医学的におかしいという声があったからだといいます。「医学的に云々」には医者からの指摘もあったと思われます。『ブラック・ジャック』を読んで、医師になったものも少なからずいることを考えると（『ブラック・ジャック・ザ・カルテ』をご参照ください）残念なことです。とはいえ、医療漫画のさきがけとなったこの作品は後世に多大な影響を与えたマスターピースとなったのです。
いまでは、手塚治虫の全作品の中でも、熱烈なファンが多い人気作品となっています。