500年の歴史を有すると伝えられる淡路の人形芝居は、江戸中期、48もの人形座を擁して旅興行を専らとしていた。全国の農村に残る三人遣いの人形芝居の多くは、この淡路人形に影響されたものと考えられている。また、「賤ヶ嶽七本槍」(「比良嶽雪見陣立」)、「奥州秀衡有鬠壻」など、大坂では廃絶した作品が、同地に伝承されていたことも注目される。淡路の人形浄瑠璃隆盛は、阿波(徳島県)にも派生しており、天狗久などの優れた人形師を生んだ。本図「生写朝顔話」のヒロイン「深雪」は淡路人形の淡路人形首で、近年、写真のような木箱入りで寄贈された。