パリのアカデミー・カリエールで学ぶ。この時、マティスと知り合う。また、ヴラマンクとも親交を深め、彼らとフォーヴィスムの運動に参加。1908年頃には、ピカソやブラックのキュビスムの影響を受ける。油彩画の他に彫刻や舞台美術等、幅広い分野で活躍した。
ドランは初期の頃、マティスやヴラマンクの影響をうけ、肖像画や風景画を鮮烈な色彩で描きました。その後、セザンヌの作品に傾倒するとともにアフリカの黒人彫刻に関心をもち、やがてロマネスクやゴシックなどの中世美術、ルネサンス美術さらにはフランス19世紀のアカデミックな美術へと興味の対象を拡げていきます。この作品には、こうした過去の多様な美術研究が生かされています。黄褐色の肉体は、豊かな量感と金属的な質感を感じさせ、中東的でエキゾチックな雰囲気をただよわせています。明確な線と構図によって裸婦の存在そのものを強調する狙いで描かれた作品といえるでしょう。