独創的な「黒」の世界を表現する芸術家として出発したオディロン・ルドンは、木炭やリトグラフの黒による創作を重ねていった。さまざまな象徴的形象が複雑に関連し合う本作品には、「グロテスクで奇妙な人物、手は顎に、両眼は心配そうでもの問いたげである。彼は尖った帽子とフロックコートを着ている。彼は山の頂上におり、夜の影の中に不等辺三角形が現れ、光を放射する黒い太陽を覆っている」(※)というルドンによる記録が残されている。
(※出典)Le « Livre de raison » d'Odilon Redon(CD-ROM), Odilon Redon: prince du rêve, 1840-1916, Paris, Réunion des musées nationaux-Grand Palais, Musée d’Orsay, 2011