川合玉堂は愛知県木曾川町出身の日本画家。諸流派の作風を巧みに融合し、近代的な空間表現を取り入れた風景画で知られたが、特に日本的な風景を生活感を伴い情緒豊かに描き上げるところに特徴がある。文学的素養に恵まれ、歌人としても知られた。鵜飼とは、鵜を使い鮎などを捕獲する漁法の一つで、現在は夏の観光名物として行われることが多い。少年時代を岐阜県の長良川付近で過ごした玉堂に思い出深いものであり、得意とした画題である。玉堂絵画には様々な水の表現が見られ、本作品における清流の動きに富んだ波の表情には、彼の力量が十分に発揮されている。篝火の光が川面や船に反映して画面を浮き立たせ、躍動感のある表現となっている。