絹サテンとカット・ベルベットの縞柄に加えて、カット・ベルベットとアンカット・ベルベットによって陰影をつけた薔薇の葉のモチーフを散らしたドレス。複雑な技法によって織られた重厚さのある美しい素材は、リヨン製絹織物の技術の高さを物語っている。ドレープを寄せたエプロン状のオーバー・スカートやトレーンが、バッスル・スタイルのこのドレスをいっそう格調高く演出する。
ウォルトは、リヨン製絹織物をドレスにふんだんに使用した。当時のヴォリュームのあるドレスに惜しげもなくたっぷりと使われたリヨンの絹織物は、最新流行のモードとして世界各地へ送り出された。リヨンは技術面や芸術面において他の生産地を制し、パリ・モードの素材供給地として確固たる地位を築いた。