18世紀の女性服は、柔らかく淡いパステルカラーと、レース、リボン、造花などの装飾が特徴。とりわけ手仕事の精緻ともいうべき繊細なレースは、最高の贅沢品として衣服を際立たせるのに欠かせなかった。ガウンの衿から裾を飾るキール、頭を飾ったラペット、袖口のアンガジャントなど、レースが豪華さを演出している。アンガジャントには何段にも重ねられた豪華なレースから、レース風の安価なドロン・ワークも使われた。
16世紀末に確立した刺繍の技法から発達したニードル・ポイント・レース、飾り紐の技法から発達したボビン・レースは、主にイタリア、フランス、ベルギーの各地で作られ、それぞれの生産地名が付けられた。19世紀に機械編みに取って代わられるまでそれらの地域の重要な産業だった。