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紅毛婦女図

石川大浪1800/1804

神戸市立博物館

神戸市立博物館
神戸, 日本

墨の濃淡を用いてドレスの襞や女性の顔の陰影を巧みに表現し、唇などに薄い朱を効果的にさして、高い気品と妖艶さを感じさせる作品となっています。
 石川大浪は天明〜文化期の旗本で、大番の役目で6年に一度は大坂に在勤し、文人・収集家として有名な木村蒹葭堂をしばしば訪れました。享和元年(1801)の蒹葭堂宛ての大浪書翰に「先頃御頼之画染筆仕上候」とある。大ぶりの美しい蘭字サイン「Tafel Berg」は寛政末から享和年間に大浪が用いたもので、八双部に蔵書印「蒹葭堂記」が捺されることから、本図が蒹葭堂に求められて大浪が贈った作品と認められます。

近年の研究(『國華』1498号)より、本図と酷似するイギリス製銅版画が存在することがわかりました。18世紀中期に制作された「田園生活」と題するシリーズ物の版画(原作者はフィリップ・メルシエ)の中に、石川大浪による本図と同様のポーズをとる、笠形の帽子をかぶり、羊毛を巻きつけた糸巻き棒を抱え持ち、両手で糸を紡ぎ出している少女の姿を描いた作品があります。この作品は当時絵画複製技法としてイギリスを中心に流行していたメゾチントという銅版技法を駆使して、写真を思わせるような立体感と陰影が表出されています。西洋版画の最先端の階調表現に、石川大浪は東洋の伝統的な水墨技法で肉薄しようとしたのです。

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