「草廬三顧」は中国三国時代の物語で、劉備が関羽・張飛の2人を伴い、陸中に隠遁生活をしていた諸葛孔明をその草廬に三たび訪れて、出仕を促した。遂にその説得に応じて孔明は都に戻り、劉備を助けて蜀の丞相になったという。与謝蕪村(1716-1783)は江戸中期の俳人であり文人画家。江戸へ下り俳諧を学び、京都に戻って俳諧改革の新風を起す一方、画家としても活躍した。本図は蕪村50歳前後のもので、全体に丁寧に描いているが、その部分々々には俳画的表現も窺える。この作品を得庵は大正初年の藤原忠之助家の売立で入手した。