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金箔地に秋の草花の萩、桔梗、菊、すすきなどが生い茂る野辺の広々とした情景が描かれている。左隻には雲上の富士、右隻には草の間に沈むように月が配され、「武蔵野は月の入るべき山もなし草より出でて草にこそ入れ」などと詠われた古歌の歌意を表した武蔵野図。この図様は、桃山時代から好まれて江戸時代にはパターン化され、他にもサントリー美術館所蔵の類型化した同様の作例が知られている。作者は不明だが、画風は江戸期の洗練された趣味を伝えて上品で美しく、デザイン感覚が光る。
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