夢二の名句「庭石にぬれてちる灯や星まつり」が流麗な文字で散らし書きされています。「星まつり」とは七夕のことです。牽牛星(別名:彦星)と織女星(別名:織姫星)が年に一度、天の川を渡って再会するという中国の伝説に因んだ宮中行事が江戸時代頃から民間に広まり、書道や裁縫の上達を願って笹竹に短冊などを飾るようになりました。宵闇の迫る頃、飾り終えた笹をライトアップしようと堤灯を手にして歩み寄った娘。八頭身を超える非現実的なプロポーションながら、長襦袢の赤が透けて見える涼やかな単衣の裾を引いて佇む姿は実に優美です。