日本を代表する現代美術家。1936年名古屋市に生まれ。1960年東京で前衛芸術運動「ネオ・ダダイズム・オルガナイザー」の運動に参加しながら、「棺桶」型立体作品を発表する。1961年末に単身NYへ移住し、その翌年生涯のパートナーとなる詩人のマドリン・ギンズと出会う。その後、立体の平面図に文字や記号を配置した<ダイアグラム絵画>のシリーズで注目され、70年代には「意味のメカニズム」で世界的な評価を得る。90年代から人間の「死の宿命」を逆転する思考実験「天命反転(Reversible Destiny)」の試みとして、ギンズと共に建築作品に着手し、1995年養老天命反転地(岐阜)、2005年三鷹天命反転住宅(東京)などを完成させる。
本作のタイトル《Gentle Friend》とは、荒川に渡米を勧め、NYのマルセル・デュシャンを紹介した詩人で美術評論家の瀧口修造のことを指している。複数の長方形が描かれた黒い線の下には、複雑に入り組んだ図形とアルファベットと漢字のようなものが見える。そこには、荒川が瀧口と行動を共にした場所を示す地図が描かれている。