鋭い眼、湾曲しながら後ろへ伸びる頭角、先端が大きく開いて鳥のくちばし状に尖った分厚い唇をもつ、迫力のある龍頭一対である。同形同大のようだが、歯の本数など細部の表現に違いがある。両者とも内部は空洞で、後端は筒形で左右に目釘孔がある。上下の唇の間には小孔がある。中国甘粛省敦煌莫高窟の隋代、唐代の壁画には、竿先に本品と同様の龍頭がつけられ、口元から幡や天蓋を吊り下げる様子が描かれており、用途を知ることができる。中国山西省天龍山石窟群のうち、中国東魏時代(6世紀中葉)の石窟である第二屈の仏龕に彫刻された龍頭と酷似する。