点彩花文蓋付ゴブレット
1500年頃 ヴェネチア
宙吹き、モール装飾、エナメル彩、金彩
この作品は、ビザンチン時代に作られていた黄金七宝製の聖餐坏の形式を採用しながら、装飾には、イスラム・グラスの技法である点彩と金彩が導入されており、15~16世紀のヴェネチアが地中海文化の混淆と熟成を成し遂げていた状況が表れている。坏身部は濃紺のガラス素地が金彩で覆われ、その上から赤・白・緑・青色のエナメル顔料で、花文や点綴文様が施され、豪華なゴブレットに仕上げられている。蓋、坏身の下にある玉飾りや脚台部には、それぞれモール型によって吹き出した稜線が作り出され、コバルト・ブルーを素地にした金梨地がその風格を一層高めている。なお、この作品は永くイタリア貴族の館に伝世されたあと、ドイツの銀行家ロスチャイルド家に伝えられていたものである。
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