日本水彩画会研究所夜間部に学ぶ。1916年《サンジカリスト》が二科展に初入選。19年二科展出品作のアナーキスト・大杉栄の肖像《出獄の日のO氏》が警察から撤去命令を受ける。21年渡仏し、パリやエクス=アン=プロヴァンスなどで制作。26年に帰国後、〈春陽会〉会員となる。41年からさいたま市の別所沼畔に住んだ。
印象派風に青く塗られた影のある積みわらが、画面左側に連なって空間の奥行きを感じさせます。右側には明るい色彩で描かれた草原がゆるやかに広がり、光の反射によって白くなっている部分が、画面全体のもやのかかったような印象を強めています。モネは《積みわら》の連作で、変化する一瞬の光の状態を描き出しましたが、林は日本の穏やかな風景の持つ空気の厚みと、漠然とした空間の広がりを描こうとしたように見えます。この作品は、彼が二度目の滞仏からもどって千葉県市川市に住んでいた時期に描かれたものです。1936年文展招待展に出品され、「印象主義的なものだが、其(その)明るさは此(この)会場内では珍しい存在である」と高く評価されました。ほぼ同じ構図の作品が、神奈川県立近代美術館にも所蔵されています。