和田英作は鹿児島県出身。天真道場で黒田清輝と久米桂一郎に師事しつつ、東京美術学校に学び、1897年同校を卒業。在学中の1896年に黒田清輝が創立した白馬会に入会する。1899年渡欧し、フランスで外光派のラファエル・コランに学ぶ。1903年帰国後東京美術学校の教授となり、後に同校校長も務めた。文展の中心作家として活躍し、1919年に帝国美術院会員となり、後に帝室技芸員、そして帝国美術院付属美術研究所長となる。彼の作品は、師である黒田やコランの影響を受け、典雅な情趣と紫系統の色使いに特徴がある。
本作は文化勲章を受賞した1943年に制作された。裏の木枠上に恐らく画家自身が「雲雀啼くころ」と墨書しているように、この絵は内湖の自然の中で感じられる早春の情感を見事に描写している。