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唐三彩馬俑

不明8th Century

京都国立博物館

京都国立博物館
京都市, 日本

緑・茶・白といった、多彩な釉薬で彩色された三彩陶器(唐三彩)の馬形の俑。唐時代の貴人たちにとって、名馬は単に乗り物であったばかりでなく、おのれの権勢・財力を誇示するための手段でもあった。そのため、貴人の行列が従えた牽(ひ)き馬は、実用性の観点からは不必要なほどに飾り立てられていたらしい。出土場所が明確ではないものの、鞍や杏葉(ぎょうよう)などで豪華に飾り立てられたこの馬の俑も、貴人の墳墓に副葬されていたものとみて間違いなかろう。
唐三彩の馬俑は非常に数多くの作例が知られているが、黒馬の俑の類品は河南省洛陽市(かなんしょうらくようし)の関林(かんりん)120号墓出土品など数例が知られるのみであり、非常に数少ない。一方、白い馬の俑は、かけられた釉薬の色を美しく見せるために、通常は赤味を帯びた地土の上にほぼ全面に施される白泥を、意図的に斑点状に塗ることによって、連銭葦毛(れんせんあしげ)という珍しい毛並みを表現したもの。
いずれも高い技術力に支えられた極めて技巧的な作品であり、躍動感(やくどうかん)には乏しいものの、皇太子の格式で埋葬された懿徳太子(いとくたいし)(李重潤、683~701)の墳墓出土品と較べても、ひけをとらない唐三彩馬俑の優品である。

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