東嶺円慈(1721~1792)は江戸中期の臨済宗の禅僧。東嶺は臨済宗中興の祖とされる白隠慧鶴の高弟で、白隠門下四天王の一人とされる。師白隠同様に書画に秀で、多くの作品が残る。
本資料は達磨図の一つで、禅の初祖・達磨が嵩山少林寺において壁に向かって坐禅すること9年という故事(面壁九年)にちなんだもの。そのすがたを一筆の線で描いていることから一筆達磨とも呼ばれる。
賛は「達摩、壁観を以て、人をして安心せしむ。外、諸縁を息め、内、心喘ぐことなし。心、牆壁の如くにして、以て道に入るべし。」という唐代の僧・宗密(780~841)の言葉によっている。達磨の禅思想の特色である壁観(面壁坐禅の観念)の説明をしたもの。