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薩摩では、日本で初めて金や銅を用いて発色させた『紅硝子』の製造に成功します。数百回もの試験を繰り返し成功させた「紅硝子」は、島津家が運営する近代工場群で培われた当時の最高峰技術の結晶でした。この切子は「薩摩の紅硝子」として大変珍重され、島津家から公家や大名家への贈答品として使われていました。しかし、誕生からわずか30年足らず、花火のごとく開花した輝きは、斉彬の急逝と明治維新の動乱にのまれ、夢幻のように姿を消してしまいます。薩摩切子はいつしか、「幻の工芸品」となりました。
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