鞍から馬の胸部や尻部にのびる革帯(胸繋・尻繋)に下げた飾り金具。棘をもつ柊の葉のような形からこの名がある。鋭い棘を表した杏葉は4点あり、鉄地金銅張の台板の上に、縁金と一体になった金銅製透彫板を重ねて、6枚の花弁で表した花形鋲、12個で留めている。杏葉の上部には革帯に連結するための吊金具がつく。細長い吊金具には3個の花形鋲が打たれている。透彫板の文様は心葉形と蕨手形の文様を組み合わせた忍冬唐草文で、丸みをおびた立体的な表現により、文様の躍動感が効果的に表れている。写真左の杏葉は他の4点と構造は同じだが、鋲が半球状で62個と数が多く、上端が半円形の吊金具には責金具と3個の鋲がつく。透彫板には単純化した忍冬唐草文が表れている。本品は、三国時代新羅の古墳出土品に類例があり、特に壺杆塚出土例と酷似する。