相州真鶴港全景

三宅克己は英国人水彩画家ジョン･バーレイに刺激されて水彩画専門の画家になった。1926年神奈川県真鶴町に転居し、「東洋のリビエラ」と讃えて風光明媚な景色を繰り返し作品にしている。明治末期の水彩画隆盛期に時代をリードした三宅だが、真鶴時代は帝展などへの出品は続けながらも、中央画壇の潮流からは距離を置き、独自の画境を追求し続けた。
　画面右手に広がる緑豊かな真鶴半島と穏やかな海、漁港が抑えた色彩で描かれており、港町の静かな日常を映している。