フルタイトル:《『シャリヴァリ』1844年3月1日
―奥様、このタバコはいかがです?……
―全然ぱっとしないわ……せいぜいほろ酔い気分の株式仲買人の奥様連中にはいいでしょうけど!……わたくしはリヨンにある大岩を超えるような、できるだけ太い葉巻が好きなんですの……でも、わたくし今、並タバコに捧げるソネットを作ってますのよ……それを『わがパイプの煙』と題した本で発表するつもりですわ……》
日刊紙『シャリヴァリ』に掲載された風刺画のうち「青鞜派」と題されたシリーズは、のちに再版されるほどの人気を得た。「青鞜派」とは、婦人解放を主張した知識人階級の女性たちを揶揄した呼称。フランスでは七月王政によってフェミニズムの機運が高まり、男性と同様の趣味や執筆活動に勤しむ女性たちが現れたが、ドーミエはこうした当時の社会現象を風刺した版画により話題を集めた。