淀川に架かる新しい渡辺橋の橋供養があり、周辺の警護を任されていた遠藤盛遠は美しい女を見初める。渡辺 渡の妻・袈裟御前である。袈裟御前の母は衣川といい盛遠の父方の叔母にあたる。
ある時、盛遠は衣川の家に忍び込み、刀の刃先を叔母の喉に押し当て「袈裟御前と一夜を共に出来る様に。」と脅迫した。母から訳を聞いた袈裟は「夫を殺し ていただければ、意に従うであろう。」と盛遠に約束した。その夜、袈裟御前の手引き通り渡辺の屋敷に忍び込んだ盛遠は、寝ている渡辺を襲ったところ、そこ には夫の身代わりになり死ぬことを選んだ袈裟御前が息絶えて横たわっていた。
盛遠は、自分の行為の愚かさを恥じて出家し袈裟御前を弔う荒行に出た。そして、熊野の那智の滝に打たれる荒行で命を落としたが、その時、不動明王が現れ、矜羯羅・制多迦童子に命じ盛遠を救わせた。蘇生した盛遠は諸国の霊山で修行を続け「やいばの験者」と呼ばれたという。
東日本大地震の被災地域の生活再建と復興を願う。