国重要文化財。
三佛寺本堂から投入堂までの行者道に点在するお堂の一つ。地蔵堂同様に崖の上に建てられている。
本尊は文殊菩薩で、「勝手権現」とも呼ばれていた。
正面3間、側面4間で、桁行7m90cm、梁間6m21cm、舞台造の柱下から軒高14m50cm、棟高16m40cm余、屋根は入母屋造、柿板葺き。一方を岩角に寄せた舞台造の建築である。周囲に勾欄のない濡縁がめぐり回廊することが出来る。
寺伝によると地蔵堂とも嘉祥2年(849)慈覚大師の創建と伝えられるが、現在の建築は、須弥壇裏から永禄10年(1567)の墨書が見つかり、室町時代の建立と推定される。また内陣須弥壇の扉金具や勾欄宝珠柱の金具にある天正8年(1580)の銘文から、安土桃山時代に南条氏が保護していた事がわかる。
投入堂・地蔵堂と同じく急斜面や崖に張出して建てる技法の「懸造(かけづくり)」で建築されている。