京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で富本憲吉らに陶芸を学んだ瀬戸は、1972年3月から翌年8月までアメリカに滞在し、日本とは異なる文化や陶芸観に接し、大きな影響を受けたと言われる。帰国直後の作である本作は、用途性を持つ器とは異なるオブジェ作品として制作された。循環や再生、無限の繰り返しを比喩的に表す「メビウスの輪」の構造は、エッシャーなどの絵画作品でも多く見受けられるが、陶芸作品で展開されることは珍しい。抽象表現主義絵画などの影響を受けたアメリカの前衛陶芸を経験した瀬戸ならではの作品である。