大心義統(1657~1730)は江戸中期の臨済宗の禅僧。巨妙子・小心子・金剛童・蓮華童子・蓮華庵等と号す。宝永3(1706)年、大徳寺273世に出世する。無着道忠らとともに当時を代表する学僧であり、著述は30余部と言われる。表千家六代覚々斎宗左の参禅の師でもある。
布袋は禅画で好まれる画題の一つで、日本では七福神の1柱として有名であるが中国の後梁時代に実在した禅僧である(?~916)。明州(現浙江省)の出身で名を契此といった。布の袋を携えている姿に特徴があり、袋には身にまとう物や喜捨された物のうちで余ったものをたくわえていたという。身体は小柄で鼓腹、吉凶や晴雨を占う能力があり、弥勒菩薩の化身と称される。
本資料は享保6(1721)年、大心65歳の時の画賛。左手に銭を持った布袋が描かれている。賛によると「行蔵一袋…」は大心の法兄に当たる仏在という僧が詠んだ偈で、それに大心が「一文ノ…」と和歌を添えている。和歌の大意は「一文の銭といえども、布袋の手から出てきたものは、軽んずるものではない。それが福禄のもとである。」