真横を向いた鳳凰を描いた作品です。S字状に頸を上に伸ばすことで、礼儀正しく、姿勢の良い姿にユーモアが感じられます。頸や翼など全身の羽根は筋目描きの技法を使い、重なりを表現しています。長く伸びる尾羽の先端にある丸い形は、孔雀に似ています。若冲は鳳凰を描いた作品をいくつか描いていますが、そのうち墨だけで描いた「鳳凰之図」は、若冲と密接な関係にあった相国寺が所蔵する、中国明時代中期の画家・林良(りんりょう)が描いた作品を参考にしています。この図も林良の鳳凰と姿が似ていることから、その作品を参考にしたと考えられます。