『古今和歌集』巻五秋歌下にのせる菅原道真の歌で「おなじ御時せられける菊合に、洲浜をつくりて、菊の花植ゑたりけるにくはへたりける歌。吹上の浜の形に菊植ゑたりけるによめる」の詞書から、「寛平御時后宮歌合」の際の歌であることがわかる。
紀貫之(868?~945?)筆と伝えるこの色紙は、唐紙に胡粉をはいて粘葉装にしたものの断簡で、柔軟な筆先に弾みをもたせて、優艶にして格調高い。同種のものは胡粉が剥落したものが多いが、これは保存状態が良好である。
内箱に「観瀾閣蔵品印」の朱印があり、仙台伊達家伝来であることを示す。重要文化財。