この作品は、ニューヨークの新労働者学校のために制作された連作壁画《アメリカの肖像》の中央パネルである。この壁画は、ヨーロッパの植民地時代から、独立戦争や南北戦争を経て、第1次世界大戦後の近代産業の急速な発展と大恐慌、そしてファシズムの台頭 に直面する制作時1933年までのアメリカ合衆国の歴史を主題としている。総数21パネルの うち8パネルが現存する。作品の中央にマルクスとエンゲルスに守られたロシア革命の指導者レーニン、その両脇にソ連共産党書記長スターリンと亡命革命家トロツキー、その手前にドイツの女性革命家ルクセンブルクなどの顔が見える。また最前列には、この壁画を依頼した新労働者学校の創立者でアメリカの社会主義運動指導者ラヴストーンが、「万国 の労働者よ、団結せよ!」と呼びかけるレーニンの言葉を記した旗を持って描かれている。
《プロレタリアの団結》は、がっちりと手を結んだ社会主義の偉大なる父と国際運動の指導者たちの群像によって「プロレタリアの団結と新しい社会体制における…アメリカの発展の進歩的な側面」を象徴的に描いたものと作家は語っている。
群像表現を得意としたリベラの全盛期を代表する壁画である。
(出典: 『名古屋市美術館コレクション選』1998年、P. 53.)