蕪畑のなかに番の鶏を描いた作品です。画面中央の雄鶏は頸を下に向けているため、頭部が上下反対に描かれています。雄鶏は首、胸、尾と横に長く描かれ、雌鶏は画面下に生える蕪の葉の後で蹲っています。蕪の葉には虫喰い跡や病斑が見られ、畑に生える蕪をそのまま描いたと思われる部分と葉脈で仕切られた部分で色を変化させるなど若冲の頭のなかで作り上げられた形が混ざっています。若冲は相国寺などの寺院が所蔵する中国絵画を摸写しています。本図のような蕪と鶏の組み合わせは、中国絵画には確認されていません。制作された時期は、30代の早い時期であると考えられ、これまで知られている中でも早い時期の作品と考えられます。