1942年初頭から45年までの、日本占領下のマレー半島で行われた粛清(しゅくせい)を描いた作品。この粛清とは、「抗日分子」とされたマレー半島の中国系住民を徹底的に排除するものであった。ピカソの《ゲルニカ》のモチーフ等を借用し、戦争というものの悲惨さを訴える。日本軍の収容所から生還した父親をもつ、戦後生まれの作者は、日本の占領が結果として助長したマレー人と中国人の民族対立を深刻な問題と考える。彼は、このシリーズ作品《粛清》の制作を通して、中国系である自分が「マレーシア人」として生きる道を模索しているともいえる。