1960年代から80年代にかけて、シェル美術賞展、ジャパン・アート・フェスティバル、彫刻の森美術館大賞展、現代日本彫刻展などで活躍。銀座和光のウィンドー・ディスプレイの仕事も含め、人体や実物からじかに型どりし強化プラスチックで成形する「カタメタージュ」の技法を駆使して、ユーモアと風刺に富んだ表現を展開した。
美術館正面入口付近から左手を見ると、屋外展示場に通じる非常階段に、こちらに視線を投げながら階段を上ろうとしている髪の長い女性の姿が目に入ります。現場に行ってみると、銀灰色に塗り込められたこの女性、頭のてっぺんからつま先まで毛穴も見えそうなほどリアルに作られているのがわかります。さらに、リュックを背負って下りてくる毛糸の帽子の女性、踊り場には肱を膝について坐っている女性と、計三人。実はこれ、本物をそっくりに固めてしまう「カタメタージュ」の名人、重村三雄がこの階段用に制作した「燻し銀」の群像です。本物そっくりなのですが、よく見るとありえない情景がこっそり仕掛けられています。正面玄関を建物に沿って右手に回った植込みにある不思議な枯れ木も、うっかりすると気付かないで見落としてしまう同じ作者の作品です。
(寸法)
168.0×45.5×48.0cm, 153.0×53.5×50.0cm, 96.0×42.0×81.5cm