高田のごく初期を代表するキモノ袖のセーター。長袖のシャツの上に着る重ね着としても着られ、レイヤードという新鮮な着こなしを流行させた。組み合わせられたジーンズやホット・パンツとのコーディネーションも、自由でカジュアルな着こなしを加速させるものだった。
1964年に渡仏した高田は急成長を遂げつつあったプレタポルテのデザイナーとして、70年、パリで自身のブランドを立ち上げた。日本の庶民的な着物地で作った服が『エル』誌(1970年6月15日号)の表紙に掲載されて、彼は瞬く間に時代の寵児となる。日常性、気取りのなさ、そして日本の服という周縁性を持つ高田のデザインは「五月革命」後の時代の精神に一致するものだった。