伊羅保の名の由来は、表面がイライラしているからなどともいわれるが、はっきりしたことはわからない。またその形状や釉薬から古・片身替・釘彫・黄・沖・御本などに細分されている。
この作品は釉薬全体が黄色く発色しているので黄伊羅保に属し、釜山近辺の御本窯で制作されたものであることが確認されている。
「武蔵野」の銘は藪内家十代休々斎竹翠によるもので、この色と形から武蔵野に出た月を連想させることから付けられたのであろうか。口縁部外側に一本の筋が浮き出ているのを玉縁と呼んで、茶人はことのほか珍重していた。