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ラパン・アジール

モーリス・ユトリロ1913年頃

名古屋市美術館

名古屋市美術館
名古屋市, 日本

パリ、モンマルトルの丘の一角に立つ歌謡酒場ラパン・アジールは、ユトリロのもっとも愛した主題の一つであった。画面左手、柵越しに見える古びた建物がそれである。この酒場は第一次世界大戦前夜の、いわゆるベル・エポック(良き時代)と呼ばれた時代のパリで多くの芸術家を集め、夜ごとにぎわいを見せたが、そこにはピカソモディリアーニといった画家たち、アポリネール、コクトーなどの詩人など多彩な顔ぶれがそろっていた。
 この作品はいわゆるユトリロの「白の時代」と呼ばれる時期に描かれている。漆喰を思わせる厚味のある白を基調とする独特のマティエールと、遠近表現を強調した画面構成を特徴とするこの時期は、彼の20歳代後半から30歳代前半にあたり、もっとも制作意欲の充実した時期といわれている。彼の最良の作品がすべてそうであるように、そこには豊かな詩情とかすかな哀愁が漂っている。時に稚拙と見える程に重いその一筆、一筆は、孤独な画家の心の内をとつとつと我々に語りかけてくる。技術ばかりが達者な画家であれば、その仕上がりの見事さにのみ目は奪われるであろう。だがユトリロの絵では、一筆の絵の具に込められた画家の思いが、静かに我々の胸に迫る。
(出典: 名古屋市美術館展示解説カード)

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  • タイトル: ラパン・アジール
  • 作成者: モーリス・ユトリロ
  • 作成日: 1913年頃
  • 場所: フランス
  • 実際のサイズ: 50.0×65.0 cm
  • 来歴: 1986年購入
  • タイプ: 絵画
  • 権利: 名古屋市美術館
  • 媒体/技法: 油彩・キャンヴァス
名古屋市美術館

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