ルノワールはフランス中央部リモージュに生まれた。13歳から製陶工場の見習い絵付師として働く。その後、パリのグレールのアトリエやエコール・デ・ボザールに入り、モネ、シスレーらと親しくなる。初期にはドラクロワやクールベの影響を受けた。1864年のサロンに出品し入選する。印象主義の創始者の一人として第1回から第3回の「印象派」展に《桟敷席》(1874年)や《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》(1876年)などの力作を出品した。1882年1月末、アルジェリア、イタリア旅行からの帰路、南仏マルセイユ近郊のエスタックに立ち寄り海に面したホテルに逗留した。また同地では尊敬する画家セザンヌに会うこともできた。
本作に見られる海原や草むらの平行な斜めの筆づかいはセザンヌの描法を反映したものと思われる。オリーブ畑に降り注ぐ陽光は、木の葉や草むらに心地よく吸い込まれ、あふれた光が大気中に飛び交っている。季節は冬であるが、春のような気配がある。ルノワール自身、画商デュラン=リュエルに「風のない穏やかな日差しの春。こういうことはマルセイユではめったにないことです」と感動を書き送っている。1937年ニューヨーク・メトロポリタン美術館で開催された展覧会出品作。
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